国家の混乱期にかつぎ出されたニューリーダー、クレオン。
共同体秩序のために打ち出した新法に、アンチゴネーは自然の法をもって対決する。
個人と国家の対立、家族の情愛と政治の論理の対決の劇『アンチゴネー』。
理念なき政治、信念なき治者はアンチゴネーの主張によって、
市民の支持を失い、自己崩壊する。
アンチゴネーからの視点を参照に、現在を捉え返す試み。
芸術は古典を参照に現在を考えることの出来る分野でありますが、今回の上演は自然の法と国家の法の対立を通し
た原作をもとに私たちの現在を再検討する機会を作ってみたいと考え取り組んだものです。同時に、「リーディング」と いう手法を通常の舞台公演の前段階と捉えるのではなく、作品を「読む」行為とは何を意味するのか、作品を通じて他 者の体験や痛みを理解するとはどういうことなのか、そのことを通して改めて演劇行為とは何を意味するのか、そうい った基本的なことを再確認する機会として取り組んだものです。
●テラ・アーツ・ファクトリー
1985年、企画制作室シアター・プラン・テラ創立、ワークショップを基盤にした作品作りを開始する。1994年、テラ・アー
ツ・ファクトリーに改名。90年代は海外でのワークショップや作品作りを多数手がける。2005年、20代の女性メンバーを 中心に演劇集団化し、「集団創作」による舞台作りを開始。近代、都市、科学技術の進歩によって侵食され続ける身体 の側の抵抗の表現としての演劇を志向する。
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