作品紹介
作品概略
門に山を入れようとする状態を指して、「閊(つか)える」。
記号情報社会の中で新作、新商品の「山」は
私たちの喉をツカエさせる強制システムと化しています。

言葉(戯曲、テクスト)によって作られる近代時間構造ではなく、
テクストとの関係によって表出させる舞台=いま、ここ、を現出させる、
その機軸に〈閊える身体〉を据えた作品『アンチゴネー/血・U』。

ギリシア悲劇最大の悲劇のヒロイン・アンチゴネーは、
骨肉相争う戦争で死んだ肉親の弔いのため、法を犯し、自ら命を絶った。
現代を生きる女性たちが〈閊える身体〉を通して遭遇する祭儀空間。

作品背景
『アンチゴネー/血・U』は、「脱ぐ」行為を媒介に
2004年に創作され非公開試演された作品(2006年上演)の連作にあたります。

私たちは演劇における身振りの取り戻しを
劇行為の基本に据えた活動を行っておりますが、
それはダンスやバレエのように組織された華麗な身体をめざすものではなく、
言い淀み、閊(つか)えてしまう身体を再構築する試みでもあります。

<わたしー個>を消費的欲望対象として無際限に増殖させる現代社会において、
閊(つか)え続けることに自覚的である、
訓練はされているが器用さには向かわない身体によって
テクスト(言葉)との結合を試みる、
それが『アンチゴネー/血』の基本創作態度となります。


『アンチゴネー/血・U』創作にあたって、
10代の自殺者、自殺志願者の
たどたどしい無数の発言を参照いたしました。
これらをメンバーが再構成し、上演テクストの一方の柱とし、
またギリシア悲劇における『アンチゴネー』を
もう一方の上演テクスト(林英樹による改作)に使用し、
媒介として身体を置く、
この構造の基底に「脱ぐ」(「着る」)という行為を措定した作品になります。  



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