マテリアル/糸地獄
「集団創作」記録
メンバー全員がプランナー・作者・演技者である
それがテラ・アーツ・ファクトリー流「集団創作
ブリコラージュによる作品創造




集団創作記録
経過

2005年12月
テラ・アーツ・ファクトリー団員の
根岸佳南江、藤井理代、井口香、中内智子、志村麻里子の5人により 実験・創造 工房10(内部発表、試演会)『糸地獄』を材料にした小作品を自主創作、試演を 実施する。



2009年2月〜3月
公演準備のワークショップ
週一回ペースで参加可能なメンバーで集まり、アプローチや構想などのプランニン グ。各人が案を持ち寄る。

2009年3月 
公演準備のワークショップ
1チーム(3人編成)と個人(藤井)に分かれて『糸地獄』を材料とした小作品を実験・ 創造工房15で自主創作、試演発表する(非公開)。



2009年4月 
公演準備のワークショップ
週二回ペースで基本プラン、シーンプランを構想、稽古場で時には粗立ちしながら、 プランを何度も練り直す。



2009年5月
公演稽古、集団創作開始
出演者全員が揃う。

2009年2月13日(金)  林英樹
2月13日(金)  19:00〜22:00
記録:林英樹

●プランニング

プランニング概要
1、林から原作上演の際の演出に関して説明
2、出席メンバー全員が案(現段階で考えていること)を提示する。

ー詳細ー
1)
林から原作『糸地獄』の劇構造、特にテクスト(せりふ、文言)に現れていない隠され た部分の背景(地)について。原作が上演された際に、演出や視覚性によって背景 (地)が大きな「世界」の枠組を作り、その中に糸女たちと繭を巡る少女の自己探索 (自分探し)劇が埋め込まれていた。この見えない(ゆえに演出によって視覚化され、 隠喩化された)枠組、世界とは近代日本、「昭和14年」と時期を特定された日本に表 出した「近代国家」構造=天皇制国家=血縁共同体(超国家主義)というねじれであ るが、それは言葉では説明されていないが、初演当時の観客(上演は1983年だ が、観客は1960年代後期〜1970年代前期のアングラ興隆期の演劇に触れてい る者が多い)の想像力と重ね合わされ、観客との蜜月的な(濃密な、秘密結社的な) 関係の場において十分に成立していた。

私たちにまず向けられるべき問いは
a):『糸地獄』をいま、上演(原案としても)する意味は?

b):原作の作品世界の背景(地)となる戦前の、特にこの劇で主体をなす最下層の女 性(糸女=女工、娼婦)は、現在とどう関係付けられるか?

c):戦前の天皇制国家、近代日本を支えた男性原理=家父長制が作品背景にある が、それは現在、切断されたのか、つながっているのか。
 


ー詳細ー
出席メンバー全員が案(現段階で考えていること)を提示する。

酒井:「糸」、「身の上話」という言葉に引っかかる。近所のアンティーク屋で実物の 「糸車」を見つける。立て置きのもの、一個400円、使えないか。

矢部:初演版と再演版のテクストの違い、その変化の理由に興味。

かずえ:
・軸をこれまでのテラの世界では一人物に絞ったが、今回は母と繭と女学生の3人 の軸を置いてみたらどうか。
・初演版は人物がぼんやりしていたが、改定版では具体的な女に変化している印象 を持った。
・舞台上に段差をつけたらどうかな(前の林案にあった天井から縄がたれているな ら)。

横山:『糸地獄』台本を軸にシンプルにやってみたい。

中内:
・スクエアを使いたい→「身の上話」とかのシーンで。
・糸(縄)で空間を区切る(前の林案に賛同)
・ゴムを口にくわえた状態で会話→これは男性陣がやると面白い。

根岸:連語の発句として「家」、「犬」、「縄」

滝:娘にとって母との関係は→一回結ばないと切れない→「糸」は女性原理。娘と母 がつながる血、縁・・・・呪縛。

 
詳細(つづき)ー
出席メンバー全員が案(現段階で考えていること)を提示する。

多美子:「母から娘」、「家系図」がひっかかる。糸を使いたい・・・何かと糸が絡んで ゆく・・。


●補足事項
c)の「問い」の前提として
原作の背景
昭和史と演劇史の絡みについて

原作『糸地獄』はテクストを「読む」だけでは非常にわかりにくい。内向した世界を描 いているため。で、この作品背景(地)を考えるヒントはプロローグの男たちの「女工 募集」にある「昭和14年」という時期だ。

昭和14年は戦争前夜(すでに日中戦争は行われてたが)。翌年には「新劇人一斉 検挙」があり、ここで日本の革新派、戦争反対派が壊滅する。

新劇が出るまで日本の演劇は伝統的大衆的娯楽だったゆえに封建的心情を守る (保守)ものとされた。そこに「社会を変革する文化活動、芸術運動」(前衛)として新 劇は特に左翼に傾き、「革命の演劇」=社会主義リアリズムを基本理念、理論の柱 にしていった。

結果的に演劇が治安警察=内務省から狙い撃ちされた。この時、みな獄中転向(思 想を変える、今後は国家に協力する・・・結果的に戦争協力・・・と表明)してしまった。

昭和14年に至る前夜は・・・・日本中が「神がかり」状態に徐々になっていったのでは ない。その前に民主主義がある程度根付いていた。大正デモクラシーがあり、都市 民の親子関係も「パパ・ママ」と呼び合ったり、明治以降の近代化政策の中で、イン テリ層も開明的、近代的になり、中でも西欧近代演劇を手本にスタートした「新劇」は 欧米化の典型的なモデルであった。

しかし、これはインテリや中流以上のクラスのことで『糸地獄』の女たちは最下層、女 工は貧しい農村から集められた。そこは相変わらず「古い」日本が支配する場所。

2009年2月17日(火)  藤井理代
2月17日(火) 19:00〜22:00
記録:藤井理代

●改訂版「糸地獄」テクストについて感想を出し合う。

<改訂版の印象>
・関係性が際立っていない→役のアイデンティティが喪失している
・初版(以後前とする)と比べより円環構造だ
・前よりリアルな言葉が出ている。現代に近いっぽい
・台本、台詞等が言葉よりも身体性が強まったように思う
・女性演出と男性演出の違いが出ている
・前より、女性の立場が変わったような。主張、個が出てる
・男性が弱くなった(のっぺらぼう・無機的)。男性の抑圧が減った→不満
・不自由な中にある自由を感じる
・娼婦自虐ネタ
・今っぽい
・「女」の肉の匂いが少なくなっている
・増えた言葉が気になる
・物語性はないけど違和感がない
・母と娘の関係性がわかりやすくなった
・言葉を投げ出している感じがする(舞台での対話ではなく、観客へ向けて発信して いる様な)
・言葉が舞台上に浮いている感じ
・前は言葉で「匂わせる」感じだったのが、改訂版ではダイレクトな言葉の表現になっ ている
・両方の台本の「同じ言葉」でも違うものになっている

という意見が出た。

これは第一印象としての意見。
全員が改めて、もう数回、両方の台本と向き合って見ることをしてみたいという風に なる。初版から、改訂版ができるまでの「間」になにがあったのか、理生さんの中で何 がどう変わって言ったのか(ヤンファーブルからの影響などがあると、猪狩さんが少し 話してくれましたが)、そこらへんをもっと詳しく知りたい。

改訂版の一部では言葉の扱いが今までのテラの公演の言葉の出し方と近い印象を 数人が受ける。

私個人としては、どうも引っかかる部分があり、まだうまく言葉にできないがなんとも 言えぬ「違和感」を感じた。この違和感と向かい合いたい。そのためにはやはり、改 訂版にいたるまでの経緯を知らなければならないような。。。

●次の金曜は原作テクスト(初版・改訂版ともに)をどう使うか、扱うか意見を持ち寄 ることになりました。

2009年2月20日(金) 中内智子
2月20日(金)  19:00〜22:00
記録:中内智子


話合い内容

@テキストの扱い方案

多美子:スクエアを中心にその周りで連句(例 糸女の「風が吹いて・・・」みたいな)

中内:初演、改定版両方の身の上話をどうにか使用したい

根岸:役名がなくなった部分(例 「さやりひゅう」のあたり)はすぐ使えそう

志村:音や匂いのある文体が気になる。それを上手く使えないか

長谷川:女性とは対照的に男性で何かをする

酒井:(糸車持参)糸車を使いたい。音を聞かせる⇒てぐす⇒太い毛糸(糸女の人数 分の色)
身の上話の後に現代の身の上話{身近な事件=新聞記事(日付・概要・顛末)}を語 っていく⇒権力を感じさせるもの

藤井:あえて身の上話を使いたくない

滝:理生さんの世界をベースに考えるのか、理生さんのテキストで自分たちの世界を 創るのかで、テキストの扱い方が変わるので、そこをはっきりした方が良い。


話合い内容@より発展

A大前提として
A「理生さんの世界をベースに考える」
B「理生さんのテキストで自分たちの世界を創る」
どちらで考えているか?

酒井:B そうだと思っていた。

中内:B テキストの使い方、使うものを選んでやっていきたい。

根岸:B そうだと思っていた。

多美子:B そうだと思っていた。世界観をどう扱うか。

藤井:B テキストを引用する⇒もう世界観が入ってくる。
ようは、そのテキストの接点などを考えていくべきではないか。
着眼する所をしっかりと絞りこんでいく。

長谷川:A 岸田理生フェスティバルなので。
テキストを使って表現する世界⇒どこに辿りつくのか?

滝:A>B 両方の側面を持っていないと。
テキストを料理していくかだけを考えるのか?
岸田理生を常に感じているのか?

志村:BのA ようは気持ちの問題。

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林:理生さんの世界や言葉を無視してはできないが、同化するのではなく距離をどう とるか考えなくてはいけない。<岸田さんの生きてきた時代、どう戦後を生きたか、 昭和時代とは何か、昭和以降の近代とは何か>をとらえないと世界は見えてこな い。AとBは分けられない。Aを念頭においてBをする。

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■今日の話合いで林さんが出した案
・ト書きを使う
・実験工房でやった、英単語をめくって単語を言う
・当時の三面記事と現代の三面記事
・段上で男が飼殺しなら、普通に台本を読んでいる(背景として)舞台前ではスクエア 使用や、連句等が進行する(前景として)
・掲示板を使用したい。

2009年2月27日(金)  矢部夏緒里
2月27日(金) 19:00〜22:00
記録:矢部夏緒里


稽古前に林から「糸地獄」をやる上でのポイントの話。

・過去(岸田理生の提示している世界)と今生きている私達自身
・のっぺらぼうと縄(監視、縄張りの縄)その縄の隙間を風のようにすり抜ける女達

・林案を試す
@テキスト先行(改訂版使用)でテキストの言葉を拾ったりしながら空間構成。

テキスト:母殺しのシーン
読み手:多美子、矢部

しかし、言葉をゆっくり発語したのと、声が低かったため体の動きが重くなる。言葉に 囚われて動けなかったという意見もあったため、次は

A3分間の空間構成の後、テキスト発語を試す。

@よりはイメージを掴みやすくなった。テキストと読み手を変えて何回か試した。

テキスト:松の身の上話のシーン
読み手:中内、長谷川

テキスト:P.53心中のシーン
読み手:志村、多美子

2009年3月13日(金) 矢部夏緒里
3月13日(金) 19:00〜22:00
記録:矢部夏緒里


藤井から糸地獄の演出の方向で話があった。
・初演版「糸地獄」の台本を使い、糸女の会話の部分を重視(さやりひゅうなどの部分 はカットする)
・繭を中心としたラインは崩さず、縄と繭と母を「物語」の軸にする構造は残す。

@これらを踏まえ、初演版「糸地獄」を試し読みする。

Aテクストを使い、空間構成(順番は決めず、出入りも自由)

A-1テクスト発語者
滝:昭和14年に起こった出来事
横山:2009年に起こった子供への虐待事件
テクスト発語者は空間内を自由に移動して可。

A-2テクスト発語者
横山:引き続き虐待事件
根岸、中内、志村:今までに書きためていた掲示板
横山は引き続き自由に移動して可、掲示板発語者は空間構成をしながら合間に発 語。

A-3テクスト発語者
猪狩、長谷川:初演版『糸地獄』P40〜45のっぺらぼうの台詞のみ。

2009年3月20日(金)  林英樹
3月20日(金) 19:00〜22:00
記録:林英樹
●出席者:中内、井口、和紅、横山、入好、志村、根岸、矢部、長谷川、江口、滝、


●概要:
1、外部出演組が戻ったため、その間に固まった演出基本方針を話す。

2、『糸地獄』の対話部分を抽出してリーディング。

●詳細
1、演出基本方針:
これまでのテラスタイル、集団創作でやるには形になるまでに1年2年かかる。原作 を見ながらたくさんのシーンイメージが浮かんでしまい、それを一つの作品に限られ た時間内で絞り込むのは不可能。そういうこともあり、今回は原作テクストの物語ラ インをシンプルに抽出し、4月はテラメンバーと可能な外部メンバーが参加し、軸とな る部分のテクストリーディングを重ねながら、岸田さんの言葉を身体的に消化する作 業を進める。徐々にテクストと距離化を計り、独特の岸田言語に引き込まれないよ う、テクストから自由になるような方向に向ける。

同時に『糸地獄』の軸に対して必要と思われるシーンを構想してゆく。

基本稽古作業曜日は火・水・金19時ー

5月以降、出演メンバー全員で、構想されたシーンの試しも重ねながら、作品を構築 する作業に入る。

2、テクスト:
リーディング式で、林がテクストレジをした部分だけを抽出して読む。シンプルになっ た。一度、こうしてシンプルにした後で、必要と思われるものを追加してゆく。

●林から公演稽古に関して:
WS組もいるので公演の稽古に関しての確認事項を主に外部メンバー用に伝える。 公演の稽古はWSとは違うこと。小道具制作やDM作りも含めて、公演と言う「企画 事業」を作ってゆく作業でその中に稽古も入る。その時々にしなければならないこと は時間とともに変化し、同じ週でも違ってくる。それに対応しながら「必要なこと」をや っていく。時には2、3人の場面を集中的に稽古する場合もある。

2009年3月24日(火)  藤井理代
2月24日(火)  19:00〜22:00
記録:藤井理代

○ト書きを利用
・ト書きを読む(酒井)+空間構成5分
・ト書きを読む(長谷川)+空間構成5分
・ト書きを読む(横山)+空間構成5分

↓↓↓
・色んな可能性がありそう。
・男性のみのシーンにしても面白いかも。時々女性が出てくる。
・ずっと続けるのではなくて、場面構成のポイントポイントで使える面白さがある。

○さやりひゅうの使い方
・ベーシック2みたいな
・「地」にする
・輪唱
(上記案根岸より)

○新しい案
・ミシンで音を出す《今と昔の違いがある。高速になった。》

○工場の印象について(製糸工場でなくても可)
・ベルトコンベアー ・バツン!(音)
・火花
・溶けた鉄
・大量生産
・全体が見えず自分のみで作業している
・白衣
・殺菌(無菌空間) 
・鉄パイプ
・蛍光灯
・単純作業
・灰色
・汚い
・汚れ
・埃
・太陽の光がない
・大量の煙
・流れ作業
・人が機械的
・主人:機械 奴隷:人間
・熱い
・作業着
・トラック
・廃棄物
・音が大きい 
・外側から人が見えない
・「箱」のイメージ
・臭いが独特
・宇宙都市みたい
・タンクがある

工場に関しては私が皆の話を聞いたりためしをしている時に気になった事で、いくら か皆に協力してもらって挙げました。
どうにも引っかかる何かを感じたのです。まだ何ともいえませんが、今後の参考に出 来るようにしたい。

2009年4月3日(金)  藤井理代
4月3日(金) 19:00−22:00 
記録:藤井理代、修正:林英樹
●出席:根岸、藤井、井口、中内、入好、横山、和紅、志村、上田、多美子、矢部、 酒井、長谷川、佐々木、門田


●概要19:00〜19:30 柔軟、筋トレ
19:30〜19:50 発声(基礎)
19:50〜21時10 林さんから演出基本方針に関する話(アプローチ含め)

●詳細
林からの話:昨年後半から今年にかけ世界も日本も大きく変化した。この変化は一 過性というより、20世紀型から21世紀型価値観形成へのより歴史のプロセスの変 化だと思う。近代を支えた「繁栄」「進歩」概念とそれを下支えする「経済発展」の神話 が環境汚染や資源の枯渇、統制できない世界経済によって崩壊し、未来が予測でき ない閉塞感や不安定感が顕在化したことはその予兆。この変化の中で日本の演劇 も変わるだろう。今は過渡期、ただどうなるかは私たち(演劇に関わる者)次第。
80年代以降続いた消費社会対応型の、気まぐれな観客の欲求に振り回され続けて きた演劇が変わるチャンスかもしれない。
こういう時代に何ができるか、という問いが私たちに突きつけられているのだと思う。


・『糸地獄』→「エレクトラコンプレクス」の変奏バージョンと林的に解釈。

・ピラミッド構造(日本近代を根幹で支えその頂点には天皇制がある)→『糸地獄』の 基本構造として暗示されているもの。

・P97の繭の台詞4/7(火)までに全員、入れてくる。稽古で使用。

・冒頭かそのあとに少女の母が「男を殺す」シーンを入れたい。

 
◎集団で<連声(れんじょう)>するシーン(濃密でパワフルなテラ的シーンを入れ る)

・<連声>は所々に出す。単純な会話劇にしたくない。

・ラストの方で太めの赤い糸?を舞台上に沢山交差させたい。その中で女達の<連 声>、糸は男が引っ張っている。

・末端の人達、下層の人達の「小さな物語」には「大きな物語」(歴史・経済・世界・戦 争)が複雑に反映している、影響を受けている。現在の日本の経済混迷の中での 「弱者切り捨て」は共通する例証。

・天皇制・家父長制・権威・男という構造を「宙吊り」というのはやらない。宙吊りに吊 るべきものが現在の日本ではのっぺらぼうになっている。管理システムだけがあり、 しかしその中身は目が開いていない。支配する者の中心は空虚である。のっぺらぼ うな管理システム、監視システムだけが強化されている。

・音楽→カタカタ→工場→戦争(プロペラ・パールハーバー)→ラスト前は日米開戦の 放送。

↑繭の、母と娘の「小さな物語」の背景に大きな時代のうねり、激動の昭和の歴史と いう「大きな物語」をより鮮明に浮き上がらせたい。

・最後、男性陣はみな「のっぺらぼう」として舞台に立ち、女たちを包囲する。互いに 縛りあいガチガチになり、そのまま戦争に突入しゆく時代背景と重なる。

2009年4月7日(火)  藤井理代
4月7日(火) 19:00−22:00  
記録:藤井理代、修正:林英樹
出席:根岸、藤井、井口、中内、入好、横山、和紅、志村、上田、多美子、矢部、酒 井、長谷川、佐々木、門田


●19:00〜19:30柔軟・筋トレ
●19:30〜19:40発声(座って声帯を開きリラックスして)テキストは前回稽古にて 覚えてくるように言われていたP97の繭の台詞を使用。

●19:40〜20:00
・P97繭の台詞を使用し、<連声>。暗記していなかった面子は座って見学。ゆっく りと歩き、空間を埋めながら、お経を読むように一定のリズムで発声。台詞の終わり まで来たらまた頭に戻り繰り返す。
次第に林さんからの指示がはいり各人、台詞にうねりが入っていく。同時に体の体勢 も変えてみたりする。

●20:00〜20:10休憩
●20:10〜20:45林さんからのシーンの説明

・オープニングは少女の母が「男を殺す」シーン。
組み込むものは、<連声>・男性の声で昭和14年の年代記(世界含む)・何かしらの 激しいシーン。

カット。

客席上にずぶぬれの繭が立っている「目が覚めると…」(入水自殺で死に切れなか った(相手不在))→林さん解釈。

舞台上から繭を照らす(懐中電灯)。

男達と繭の対話。

・中盤 「身の上話」中心に展開。
男、黒目の衣裳でストッキングか何かをかぶっている。操る人。舞台四方に男がい て、闇の中から声がするイメージ。舞台上、スクエア(四角い光)で「身の上話」。(箱 馬2つくらい重ねたようなボックスに座って会話も良いかも?)

・ラスト
連声+男の声(滝)で年代記+前回言っていた音(工場〜…)。


・P33、P97の繭の台詞を分割して使うかも。

●20:45〜21:40 本読み
P60〜
・読み手
繭:志村、縄・藁:佐々木、紐:門田、テグス:酒井、水引:長谷川、雨:根岸、松:中 内、梅:横山、霧:井口、牡丹.菊.紅葉:藤井、藤.萩:入好、月.菖蒲:矢部

2009年4月10日(金)  横山晃子
4月10日(金) 19:00−22:00
記録:横山晃子
出席:根岸、藤井、井口、中内、入好、横山、和紅、志村、上田、多美子、矢部、滝、 酒井、桑原、長谷川、門田


●19:00〜 柔軟、筋トレ
●19:201〜 全体でたっぷりと体をほぐした後、P97繭の台詞を使って発語練習。

●20:00〜
糸地獄台本、女達の身の上話中心に読み。

P16〜P18
登場人物:繭、女学生
組み合わせ
@繭→上田女学生→井口A繭→根岸女学生→上田B繭→矢部女学生→入好C繭 →藤井女学生→佐藤たみこD繭→志村、女学生→入好

P40〜P45
登場人物:雨、霧、のっぺらぼう
組み合わせ:@雨→中内、霧→上田、のっぺらぼう→滝A雨→井口、霧→横山、の っぺらぼう→滝B雨→上田、霧→佐藤かずえ、のっぺらぼう→桑原
P67〜P71
登場人物:松、梅、縄
組み合わせ:@松→藤井、梅→根岸、縄→酒井A松→横山、梅→佐藤たみこ、縄→ 長谷川B松→佐藤かずえ、梅→井口、縄→滝C松→志村、梅→上田、縄→門田

P76〜P84(P81の6行目〜P82の9行目カット)
登場人物:藤、菖蒲、萩、桜、牡丹、テグス、紐、藁、水引き
組み合わせ:@藤→矢部、菖蒲→佐藤かずえ、萩→井口、桜→根岸、牡丹→入好、 テグス→酒井、藁→桑原、紐→長谷川、水引き→門田A藤→井口、菖蒲→藤井、萩 →佐藤たみこ、桜→入好、牡丹→横山、テグス→酒井、藁→桑原、紐→長谷川→、 水引き→門田B藤→誠子、菖蒲→中内、萩→入好、桜→横山、牡丹→矢部、藁→ 滝、テグス→志村、紐→、水引き→佐藤かずえ

●以上が読みをした部分です。誰がどのセリフのイメージや雰囲気に合うか、面子を かえながら何パターンかやりました。
聞いてる感じでこの言葉に合う、合わないはなんとなく見えてはくるのですが、これが ベストだと断定するのは、まだ難しいかんじです。
ちなみに、矢部→牡丹、上田→藤、入好→女学生、佐藤かずえ→菖蒲、井口→萩 が、なかなか合うのではという意見は出ました。

2009年4月14日(火)  横山晃子
4月14日(火) 19:00〜22:00
記録:横山晃子
出席:根岸、藤井、井口、中内、入好、横山、和紅、志村、上田、多美子、矢部、酒 井、桑原、佐々木、長谷川


●19:00〜柔軟、発声
●19:30〜繭のテクストを使っての連声練習

●20:00〜林さんより、今の時点での全体の流れ、テクストの使う部分の説明をされ る。


(順番は何パターンか試しながら決める)
【始まりの例2】
集団シーン

男を殺すシーン

何人かの女達、懐中電灯を体に照らしながら、様々な身の上話を分割して語る(実 験工房で横山たちのやったような)

P10の最初のト書き「闇…音がする」の部分を何らかの形で入れる。

〜客席上にずぶ濡れの繭登場。舞台から男達、懐中電灯で繭を照らす。
P10〜の男達と繭との会話。

何かしらのつなぎシーンが入る

繭と女学生の会話P16〜P18

(場面、変わって・・・男性場面がどこに入るかはこれから検討、今は仮)
P19〜P24を使って男性中心の創作シーン(娼家ゴッコみたいなもの)が繰り広げら れる

P25繭と女学生の会話

P27〜P29

P33〜P34繭のセリフを女達で分割

P40雨の身の上話(所々女達で分割)

P45霧の身の上話(所々女達で分割)

P46繭のセリフを全員で共有(あくまで中心は繭で、周りが重なったり繰り返したり等)

P48〜P49の使い道を何かしら考える

P51繭のセリフを、繭かもしくは集団が言う

P52〜P53の構成をかえる↓
P57の[糸切]の歌の部分を、どう使うか考える↓
P58〜P64をアレンジ
(母と繭の会話)

P65〜女達の身の上話は何らかの形で使う

ラスト

全体の大まかな流れとしては、このような感じです(中後半は大雑把な流れを稽古で 出しながら一緒に考え5月から試してゆく予定)。

2009年4月17日(金)   藤井理代
4月17日(金) 19:00〜22:00 
記録:藤井理代
出席:根岸、藤井、井口、入好、和紅、志村、上田、矢部、酒井、佐々木、長谷川、 江口、門田、滝


●19:00〜20:00チラシの作品に関する文言林案の検討
●20:10〜20:40柔軟、発声(Fコア・繭の台詞使用)
●20:40〜本読み+テキストレジ(繭と女学生の部分)

・チラシ文言について
テラのチラシの文言(林さんが考えたもの)第一稿をたたき台にしてに稽古出席者全 員で意見を言い合う。
チラシの表に載せる文言、裏に使う文言、集団の紹介等を全員で細かく検討しあう。

結局、案が出すぎて、原稿提出締切りが明日のため最終的に林さんの判断に任せ ることになる。

・本読み+テキストレジ(繭と女学生の部分、林案よりレジ案提起)
岸田さん特有の少女的な語尾、表現部分をカットすることにより、雰囲気が大きく変 化する。短い会話文の中に硬質さがでる。
繭は不動なのだが、「女学生」を扱える人間がずいぶん絞られてしまう。

林レジにより、テキストの難易度が上がり、緊張感が走るものとなる。

女学生登場の場面は繭が、「白い紙」で前にゆるりと進もうとする存在に対し、女学 生はそれの行く手を阻む硬質な壁のような存在にも感じられた。

2009年4月21日(火)  井口香
4月21日(火)  19:00〜22:00
記録:井口香
出席:桑原・酒井・佐々木・長谷川・門田・清田・根岸・藤井・井口・中内・横山・志村・ 和紅・多美子・矢部・林


●18:30〜 舞台監督、今泉馨さんと顔合わせ(林・藤井・井口・中内)
●19:00〜  柔軟・筋トレ・発声(Fコア:繭の台詞使用)
本読み+テキストレジ
●男性陣、女性陣に分かれプランニング

本日より清田さんが稽古合流。
舞台監督が今泉馨さんに決定。 

P33〜35 繭台詞 5月連休あけまでに覚える。

◎本読み◎
P10〜 繭:志村 女学生:和紅
P36〜 繭:志村 藁:酒井 テグス:門田

◎プランニング◎
集団シーンなど構成していくうえで、少人数の方が進めやすいのではということで、チ ームわけ。
★藤井・志村・上田・清田
★横山・根岸・入好・矢部
★和紅・井口・中内・多美子

・集団シーンのイメージ
藤井:時間の流れを分かりにくくしたい。
入り混じった感じ、時間が崩れていくような、雑踏っぽいようなものをうまく使えない か?「身の上話」のところ、「蜘蛛の糸」のイメージ、男に群がる女たち・・・みたいなイ メージ。誰か一人が喋らなくてもいいのではないか?

・和紅:電気の紐のイメージ。

・上田:P76〜、「身の上話」、一人が読むのではなく、飛びまわって、行ったり来たり しても面白いのではないか?

2009年4月22日(水)  入好亜紀
4月22日(水)  19:00〜22:00
記録:入好亜紀
出席:根岸、藤井、井口、中内、入好、和紅、志村、上田、矢部、門田


●19:00〜 ストレッチ
●19:25〜 コア(繭テクスト使用)
●19:50〜 空間構成

●20:25〜 冒頭シーンプラン(林さんの現段階でのプラン)

・静寂から始まる。試演会での横山チームのように、懐中電灯を使いながらぶつぶ つと身の上話。ぱっと照明がつくと、母が男を殺す姿。(冒頭シーンでのMのイメージ は雨の音か、糸車のカタカタする音)

・藁、テグス→P11〜の頭の会話の部分は声の強さと重さをメインに考えるのであれ ば滝さんと酒井さんで試してみたい(以降のシーンでは別の者でも構わない)。

・男のシーンはナンセンスで風刺のあるものにする。
※男の目は世間の目であり、世間での権勢であり。上下関係を構図化。

・三月桜のシーンを<連声>か、<連句>する。

・P40〜 のっぺらぼうと雨のシーンは、記憶をぼんやり切り取ったようなイメージ。

・P46〜 繭の長いテクストは、イグアナの娘、たち2での根岸と横山の掛け合い時の 周りが反響させる。→繭の存在が波紋を作ってゆく。→波紋が広がってスクエアへと なる。→モノローグ化した身の上話を語る女達。その近くで語る女を男が見ている。 監視のような感じ。


◆仮で冒頭シーンを粗立ちで試す

和紅、中内、矢部が懐中電灯を使い身の上話(長め)を呟く。2周目に上田、根岸、井 口、入好が入る。しかし後でゆっくり入って来ると空間が持たないので、全員立ってい るところから、身の上話を始める。林さんの合図で周りは低い体制で連声。


・林さんのイメージとしては静かに始まる感じであるけど、繭を活かすのであればある 程度の盛り上がりが必要という意見がでる。

・「静か版」と「強め版」の2パターン作る。

2009年4月24日(金)   佐藤多美子
4月24日(金) 19:00〜22:00
記録:佐藤多美子
出席者:根岸、藤井、井口、中内、横山、入好、上田、多美子、江口、佐々木、長谷 川、滝、清田、門田


●19:00―19:25
柔軟、筋トレ

●19:30―19:55
F基礎、ほぐし・声だし

●20:10―20:30
空間構成

●20:30―20:55
リオフェス全体会議の内容、チラシの構成について林、中内から報告。


●21:10―21:45
プランニング
・オープニングのプランニングをやる。大まかな流れは、

女たちの身の上話(一緒に雨音や雷鳴が聞こえる)

女が男を殺すシーン
音楽入

言葉をぶつぶつ唱えながら人々が出てくる
この時、男性陣は昭和14年代の世界史、女性陣は新聞の三面記事、女工哀史を呟 いている

声がだんだんうねり、高まっていく声MAXでみんなの動きが止まる
台本10ページの最初のト書きを群読

客席に繭がいる
繭、藁、テグスの対話

・実際みんなで粗立ちで試しをやってみたが、手探りで流れを通している感じ。まだ 様々なパターンでシーンを検討する段階。

2009年4月28日(火)  上田誠子
4月28日(火)  19:00〜22:00
記録:上田誠子、修正:林英樹
出席:井口・中内・入好・横山・和紅・志村・上田・多美子・矢部・滝・清田・江口・佐々 木・門田・林 休み:藤井、長谷川


●19:00〜
@ストレッチ Aほぐし B基本運動 C空間構成

●19:55〜
チラシの報告
金曜日の稽古:情報共有

●20:10〜20:45 演出からプランの基礎的な思案に関する考えの提示。リオフェス参 加と理生テクストを使う根本のモチベーションに関する話。<いま、ここ>は、歴史 過程を切り離した現在だけを見ても見えてこない。時間軸、歴史の中で相対化 しないと見えないものである。

●20:45〜21:00 横山、志村、矢部により試演会シーン

●21:00〜21:25 プランニング

・今後の試し予定・・・林から
1、最初の藁・テグスに関して、声の重さからワラ→滝さん・テグス→酒井さんで試し たい。

2、男→長谷川…若い男をめぐって母と娘が対立・・・に対して男→滝…繭からみて 父親的存在を母と対抗して求めるという構造になる。男を滝が演じる、その男は縄に なり、あるいはのっぺらぼうとなる。という形を取ると父=縄=父権の象徴、を殺す母 と、その母を殺そうとする娘、という構造になり<母殺し>だけでなく<父殺し>(か なり屈折し、その行為を行った母を憎む、という近親憎悪が重なる)が絡まってくる。
オープニングの殺される男は、[のっぺらぼう]であり[縄]であり[父]である。その男を< 母>が殺した→→娘が復讐しに来るが・・・・(どうなるか)という構成になる。

・基本思考・・・林から
1、<家>は過去のものではなく、現在も生きている。企業の家族意識、やくざの家 族的結束(おやじと舎弟たち)、<内・ウチ>意識、内輪(外部、異質を排除する・・・ 小中高校など教室の日常光景)

・「自我」・・欧米人は内面で個人と神が直接対峙する構造の中で自我が形成されて きた。日本人は共同体・集団の中に自我を形成する。外的な自我(客我)、人(世間) から見た自分、人から自分がどう見えるかが自己形成の基盤にある・・・結果として 互いに窮屈な世間を形成してしまう。

・構成に関して:最初は連句や空間を使い飽きさせないように。中・後半で核心をつ き、最後はエネルギーの場をつくる。

◎3人のシーン

横山:志村:矢部
試演会の作品を行う。
懐中電灯を使用
雨の音を入れてみる。

「雨で心中 六月でした」

のような“思い出し”の台詞をキーワードにして「殺し」のシーンにつなげる、とか。

…………………………
◎男女に別れてそれぞれプランニング

【女チーム】
・オープニングを考える

〜懐中電灯の使い方〜
井口…@自分達で懐中電灯を持つのではなく、男達に持ってもらい、女達を照らして 欲しい。
A入好の持ってきた軽く叩いてスイッチを付ける電灯を、床や壁などにつけ、照らす 時は押しに行く。

〜男殺しに行くまで〜
和紅…声はない。姿や形。全員静止。
微かな動きの音や掠れる音どはあるが、肉声は繭の台詞から
連じょうにすると15分以上かかる。観ている方が辛い。
最低10分←横山たちが本日行ったのが約10分

清田…母め殺すシーンからではなく、最初は他の女達と一緒にいる。
男を殺す見せ方は、静止でよいのでは?

上田…ある程度のテーマを決めて空間構成。固まった形から出て行くと殺すシーン になっている。

〜その他〜
入好…場内の幕内を無しにしてみては?
井口…全くなしはつまらない。ならば赤い糸か紐を女郎の囲いに見立て、紐の外に 出たら客を待つ女のように見せる。
清田…母・繭以外の【女】の意味は?娼婦ではなく、全員母では?

で時間。
この(プランニング)は次回金曜日に行うので休みの間も考えを続けておいて次回に 発表すること(林から)。

2009年5月1日(金)  志村麻里子
5月1日(金) 19:00〜22:00
全体記録:志村麻里子
出席:根岸・藤井・井口・中内・入好・横山・和紅・志村・上田・多美子・矢部・滝・江口・ 佐々木・長谷川・門田・林


●19:00-19:30 柔軟→各自発声
連休前に改作版テクストの試し読みをやりたい為、軽いアップ

●19:30〜本読み
まず、演出から、原作で残したい部分に関する連絡。

@藁・テグス・繭(P10〜14)
発語するのは2人でも、舞台上には男性陣が何人もいてもいいかもしれない。

A女学生・繭(P16〜18)

B女学生・繭(P25)

C藁・テグス・繭(P36〜39)
2度目の藁・テグスは2人で発語でなくてもいいかもしれない(滝さん除く男性陣)

D雨・のっぺらぼう(P40〜43)

E縄・繭(P62〜)

F母・繭(P91〜)

以上、@〜Fは使いたい。試し読みしてみる。

@男性の強い声が欲しい。藁:滝、テグス:佐々木
澄んだ声(繭)濁った声(テグス)よどんだ声(藁)のバランスがおもしろいのでは。

AB女学生:入好
入好が演じるのであれば「役」を作るやり方の方が良い。
ドスのきいた感じで繭のペースに流されないように。

Cは、男性陣で台詞振り分けて読んでみたいという事で、本日はやらなかった。

D雨:根岸、のっぺらぼう:滝

E縄:滝、繭:志村

F読みはしなかったが、母:清田、繭:志村

以上、5月1日時点での仮決定。この部分は、どんどん覚えるようにする。

●また、林さんから、昭和14年の年代記(以前から出ていた)と「糸引き歌」を使いた いという話があった。

縄⇔男⇔のっぺらぼう
父親的なモノを殺す母、それを復讐する娘(繭)
母⇔縄⇔繭の関係

という事を作品の軸の一方として考えられないか。



●20:30〜グループに別れてプランニング

それぞれのグループで記録をとる。

●21時過ぎ頃、林さんのオープニング案を試しにやってみる。

男性陣懐中電灯を持ち、年号をブツブツと言っている↓
女性陣が出て来る(繭含む)↓
女性陣ウロウロし、きっかけで近くにいる男性の首をしめる。首をしめない女性陣は うずくまる。(殺しのシーン)

雷鳴

女性陣上下の壁沿いに並ぶ。男性陣は舞台奥に並ぶ。繭うずくまったまま。女性陣 最初のト書きを読む。

繭うずくまったまま。会話部分はどう扱うかはまだ分からない。

女性陣会話部分終わったら、歩く→止まる動きを繰り返す。

女学生のシーン

このオープニング案を1つの参考として、プランニングに戻る。


●21:30〜制作より話。
現在の4ステージだとキャパが足りない為、5ステージにするか、椅子席をとっぱらい 桟敷席にするかの相談。バラシなど諸々の問題を話し合い、多数決で5ステージに する事に。(理生フェス側が承認すれば)最終日、15時19時という事になる。

連休明けからどんどんシーンを創っていく為、各々確定したテクストは覚えるように!



グループに分かれてのプランニング@
5月1日(金)
記録:佐藤多美子

メンバー:和紅、井口、中内、多美子

@舞台案
・男性が常に舞台上におり、舞台を囲っている。

・舞台上に段差が欲しい(上の段を待機場所にする)。

Aオープニング案
今までのテラの公演の抽象的な身体表現より、日常的な動きから作品に入っていっ た方がいいのでは?という意見にまとまる。具体案は以下の通り、

女性が日常的な動作をしている(風呂敷を持って走ったり、何か物を取ろうとしてい るなど様々)。
昭和14年代の生活の慌ただしさやそれを見ていた繭の記憶の断片として表す。

男性が女性を懐中電灯で照らす。
生活しているなかで無意識に聞いているプロペラの音などの生活音が流れている (男性を照らす場合もあるが、その場合後ろ姿や体の一部など誰か特定されないよ うな所を照らす)。

懐中電灯で照らされ人が徐々に絞られていく。

一瞬母と男が照らされる。
殺すシーンは実際に殺すのではなく、母がはさみや帯紐を持つなどして比喩的な表 現で表す。

雨の音、繭が照らしだされる客席の後ろ側からスピーカーで繭以外の声で、最初のト 書きや「たった今目が覚めて〜」の台詞が雑音混じりで途切れ途切れ聞こえてくる。

藁、テグス、繭の対話のシーン

Bラスト案
・戦争に突入し、空襲の後ガレキに埋もれて人々が死んでいるなか(時代のうねりに 巻き込まれ倒れた人々)、矢部がひとり立っている繭の最終の台詞「たった今目が 〜」を呟く。
母になった繭ではなく矢部(繭の子、新しい繭)が立つことによって、延々と続いてい る母と娘の因縁を表せないか。

・ダンボールをガレキとかホームレスとか格差とかの表現で使いたい。




グループに分かれてのプランニングA
5月1日(金)
記録:入好亜紀
メンバー:横山、根岸、矢部、入好

●オープニングについて
・始まり方は喧騒のような感じ(繭の記憶の断片のようなイメージ)で、だんだん高まっ ていき、母が男を殺す姿が映し出され、ふと繭が浮き上がる感じはどうか。←理由と しては繭のテンポがゆっくりだからそれを活かす為。

・横山達の試演会のやつはどこ(の場面)でも使えそうなので、↑のようなオープニン グならば別のシーンでも良いのではないだろうか。

・連声の使い方。まだ自分達が慣れていないせいもあるけれど、展開させてゆくには ある程度時間も必要だし、中盤〜後半の方が活きるのではないか。

・始めから壁沿いに上から赤い糸が吊られていて、誰かが延々とその糸同士を繋い でゆく。(あみだくじのような感じに)←直接的ではあるが家系図のような血筋のような イメージ。

・どこかで2F部分に女が立っていて振り向いて下着を撒く。

・恋占いを使う。恋占いから身の回りの事件へと言葉が変わってゆく。←乙女のキラ キラした感じから現実へと移行してゆく。

●今回は案が出たけれど、具体的に動きのイメージまでには発展しませんでした。

2009年5月8日(金) 男性チームプランニング概要
5月8日(金) 記録:佐々木義人
男性陣参加者:門田、酒井、滝、桑原、長谷川、佐々木
 
◆基礎稽古の後、男性シーンのプランニング。
事前に伝えてあった「P.36〜 藁・テグス・繭の対話シーン」の分割部分を再度確認。

佐々木の方で適当に割り振りをしたものだったので、全員で声を揃える部分、ひとつ の台詞を分割する部分など、「決まり過ぎてないか」といった部分も併せて確認を取 る。
桑原さんが1日(金)の稽古に来ていなかったので、全員で、改めて「P.36 対話シー ン」のイメージなどを確認。
 
・沢山の洗濯物(女の下着など)が吊るされている。

・紐のようなものが張り巡らされているのか、棒であるのかは未定。

・それを男達が支えるのか、舞台上に設置されているのか。

・男達が洗濯物として吊るされているのも面白い。

・洗濯物の隙間から男達の顔だけが浮かんでいるような感じ。

・「隙間」を探して移動する事も出来そうだ。

・洗濯物と絡める。ストッキングの股から顔が出てるとか、シミーズの上部分から顔を 出してまるで着ているように見えるとか。

・台本上、前のシーンが、女性陣による強烈な「分割台詞のシーン」で、後が抑えめ での「雨・のっぺらぼうのシーン」なので、さて、どうやろうか。
 

◆20時頃、酒井さん到着。
志村に手伝ってもらい、取り敢えず「P.36 繭・藁・テグス」のシーンを読んでみる(江 口さんの部分は滝さんにお願いした。)。
 
・手応え…というと難しいが、男全員での分割であった方が面白いシーンになる印象 はあった。

・“顔だけ”の男達が、顔を見合わせたり、繭を見たり、洗濯物と絡みを交えたりなど といった部分でも面白く出来そうな印象。

・声は強めで、テンポを重視、「間」を取り入れられる台詞も必ずあるだろうから、そこ は要研究。閃き。

・ひとまず佐々木の割り振ったもので次回までに台詞を入れ、次回は台本を離して、 方々に散ったり、椅子などで高低を作ったりしてやってみようかと思う。
 

◆「男性シーン」のプランニング。
 
アイディアと、林さんからの提案など、材料が揃ってきたのでまずは“試しに”動いて みる。
 
【椅子取り】
初めは、「椅子に座りたくて仕方がない」ところから始めてみる。
 
「いやいやいや。」とか「まぁまぁ。」とか「ぶつぶつと独り言」みたいなものをそれぞれ が口々に呟きながら椅子の周りを回る。
 
滝さんに手を叩いてもらい、手が鳴ったのを合図に、椅子取り開始。椅子の上の相 手をどかす、何とか場所を死守しようとする。『ツアラ』の時のイメージ。
その時にも「いやいや。」・「まぁまぁ。」・「では、私が。」など、『煮え切らない感じの自 己承諾』みたいな単発の言葉を使いながら。
 
再度、手を叩くと、すっと元の状態に戻る。
これを何度か繰り返す内に、次第に「誰かに椅子に座ってもらう・座らせる(責任を取 ってもらう)」構図へと変化させていく。
 
その内、椅子を持って座らせに行ったりする過程で椅子をはけさせてしまい、『空気 椅子(もはや椅子という飾りは必要ない?)』⇒『誰かを椅子に見立てる』⇒『飲み込ん だり、飲み込まれたりをイメージするように折り重なっていく」⇒『騎馬戦の騎馬が立 ち上がる(下:長谷川・桑原・佐々木、上:門田)』というような流れに。
 
そこで「三月桜は死んだ!」と門田さんが発するとか、うまく喋れない上の人間を下の 人間(騎馬の土台)がフォローするというものや、「糸目切れても苦にならぬ」の一連 の言葉を使うなど出来そう。
 
 
初めて動いた事もあり、当然、うまくはいかなかったが「使えそう」なアイディアである 事は確認出来た。
流れを組み立てたり、どんな言葉を使うか(募集人テキストetc)、猿みたいに見えない ようにする(あくまで人間で、男達である)など、整理は必要。
 

◆「登場」の仕方もやってみる。
 
「月月火水〜」を使い、舞台の方々から、男達が一生懸命行進しながら単独で出てく る。
空間構成的な感じで、空いたスペースに入っていくなどし、単独で舞台上を歩く。例え ば、動きは激しいのに距離はあんまり進んでいないような感じとか。走ってしまうと 「頑張り」しか見えないので×。
 
次第に、それぞれが「誰かの後ろについていこう」とする。
長谷川から出た案で、「他の人間を追い越したいけど、一番前には行きたくない。」と いうキーワード。でも、誰かに抜かれるのは決していい気がしない、というような。
 
殆ど密着する位の距離で相手の後ろにつく。
すると、前のヤツが「ついてくるな!」と発語。それに対し「ついていきます!」と答え る。

「ついていきます!」と言った奴の後ろにも、いつの間にか誰かがいるので「ついてく るな!」と発語。「ついていきます!」と答える。
 
そういうのが、あちこちで行われる。
やがて、大きな列になってあちこちを芋虫みたいに移動するのか、椅子取りの導入 である「輪」になるのかは、未定。
 

頑張りすぎなければ、入りのアイディアとしてはいい感じではないかと思う。
勿論、構図や仕組みが見えるように整理は必要。
 

◆一例として、男性シーンの「流れ」を、ああだこうだと話し合う。
 
@舞台上、方々から男達が単独で行進しながら出てくる。
※「軍歌」を使用。テンション高く。
 
A「ついてくるな!」「ついていきます!」に移行。
次第に中央部分で輪になるか、芋虫の様な列で移動。
 
B「A」の状態の最中、矢部(←一番素朴な感じでいいんじゃないかという意見。)が 椅子を持って出てくる。
中央に椅子を起き、何となくそこに座ってみたりして、はけていく。
 
C男達、椅子に気が付き(それとなく意識するような感じもあり?)、椅子の周りをぶら ぶらと歩く。
※「独り言」だったり、単発の「相槌」のような言葉を使用?
 
D「合図」で、『椅子取り』開始。
※その「合図」が何であるか、また、あるのかないのかは未定。
 
E「椅子取り」が「椅子座って欲しい、座らせたい」に移行。
※最終的には、誰か一人を祭り上げる。
 
F沢山動いて暑くなったので、椅子のその場にいる奴(立ってても座ってても可)が、 下に履いてるものをパタパタさせる。
すると、椅子に座っていた奴が、その様子をちらちら見、「自分のイチモツ」と見比べ 始める。
 
G相手のモノが、自分のモノよりも大きい事に気が付いて、すごすごと椅子を譲る。
それを見ていた周りの男達も、互いに見比べ始め、椅子(イチモツの大きさ順位)が 次々と入れ替わる。
小さい事が判明した奴らは、何だか恥ずかしそうにしている。
 
H結局誰が一番大きいか収拾が付かなくなり、舞台上に横一列に並んでいると、袖 から矢部が洗濯物を持って出てくる。
男達は、矢部に「確認」をしてもらうが、全員のモノを「ふん。」と鼻で笑われ、洗濯物 を投げつけられる。
 
I洗濯物(女物の下着)を丁寧に吊るし始める男達。
※この時に、紐や棒を設置する?
※嫌々とか嬉々としてではなく、そうするのが我々の仕事ですみたいに、真剣に。ま たは、もはや「パブロフの犬」のように、『下着⇒丁寧に干す』が染みついているよう な。
 
J洗濯物を干すうちに、「少しでも高いところに干す」という空気になっていく。
※それが争いや競争になるかは未定。
※それがステータスである、という風になるかも未定。
 
K全員がどう頑張っても「届かない場所」があって、そこを目指し、絡み合うように密 集していくと、『騎馬』が組み上がり、騎馬上の門田が手にした下着を最上部に丁寧 に吊るす。
 
Lすると「下着」は、上に飛んでいく。
飛びきって、終了。

今までのアイディアを活用し、更に話し合いの中で浮かんだもの(イチモツの大きさで 順位を決める)も活用しながらの妄想に近いものなので、これを一例としてそのまま やる事はないだろうけども、「流れのアイディア」というものも見えてきた。
『意味』は後付けで足していけそうなので、外れ過ぎない範囲で、色々遊んでみたい。
 

◆その他、話し合いの中で浮かんだもの。
・下着を吊るすとして、それは「いつ」の下着なのか。
昭和14年の物だとすると、今の様な、いわゆる「下着」という形状ではない可能性が 高い。

・色んな年代の下着が吊るされてても面白い。
吊るすものが、段々新しくなっていくとか(猿⇒人間へ、のような)。最終的には、見え るか見えないか難しい位の細い紐を一本吊るして、これが最新の下着です、というよ うな。

・洗濯物が、ベージュ一色だったら、生々しくて凄いかもしれない。

・台本のテキストをどう絡ませるか、が課題。突然出て来て、取って付けたようになる のは意味が無い。

・娼家の男達が女の全くいない場所で何をしているのかが見えれば。時折、女が出 てくる(矢部)時は、どう空気が変わるのか。
 
 
尚、P.36の対話シーンの割り振りは以下の通りです。
 
 P.36〜P.39
◆繭と藁・テグスの対話
 
藁「まだ〜」…佐々木
テ「闇夜〜」…江口
藁「わけの〜」…門田
藁「糸屋に〜」…酒井
テ「一本道〜」…長谷川
藁「それで?」…桑原
テ「それから?」…佐々木
藁「そうしたら?」…江口
藁「糸屋へ〜」…門田
テ「つまり〜」…酒井
藁「七日七晩〜」…長谷川
テ「それで〜」…桑原
藁「そう〜」…佐々木
藁「あれ?」…全員
テ「あれは〜」…江口
テ「月だよ〜」…門田
藁「穴だらけ〜」…酒井
テ「そうその〜」…長谷川
藁「何だい?」…全員
テ「言って」…桑原
藁「どんな男だ?」…佐々木
 「年は幾つで」…江口
 「何と言う名で」…門田
 「どんな顔を〜」…酒井
※⇒1つの台詞を分割
 
藁「俺は藁だよ。」
※⇒佐・江・門・酒・長・桑の順番で、「俺は藁だよ。」と「俺はテグスだよ。」のどちら かを自由に選んで発語。テンポ良く。
 
テ「俺はテグスだよ。」
※⇒ランダムで、「俺は藁だよ。」と「俺はテグスだよ。」のどちらかを自由に選んで発 語。テンポ良く。
 
藁「俺たちは〜」…長谷川
 「何を〜」…桑原
 「夜まわり〜ハックション」…佐々木
※⇒1つの台詞を分割
 
藁「何だと?」…全員
テ「何を?」…江口
藁「気持ち〜」…門田
テ「まるで〜」…酒井
藁「ただの〜」…長谷川
テ「糸を〜」…桑原
藁「その結び玉〜」…佐々木
テ「すぐ眼の〜」…江口
藁「そう家が〜」…門田

2009年5月5日(火)  林 英樹
野麦峠に行く。


まだここは序の口、ここから徐々に峠に向かって勾配はきつくなる。


峠から見た乗鞍岳、絶景。


野麦峠、クマザサの穂が10年に一度実をならせる。それを「野麦」と言った。農地の 限られた飛騨の人々は、飢饉の時、野麦で飢えを凌いだという。



飛騨の貧しい農民の娘たちがこの厳しい峠道を越えて岡谷の製糸工場へ行った。 帰りは真冬。5月の今でさえ、ところどころに雪が残り、冷たい風が身を切る。思わ ず、当時を想像する。。。

2009年5月8日(金)
5月8日(金)  19:00〜22:00
出席:根岸・藤井・井口・中内・入好・横山・和紅・志村・多美子・清田・酒井・桑原・ 佐々木・長谷川・門田
欠席:矢部、上田、江口、林


●19時〜 柔軟、コア
●19時20分頃から、前回と同じように分かれてプランニング(男性面子、女子陣は 三グループに分かれて)

男性面子は別参照。



女性チームプランニング概要
記録:佐藤和紅

女子陣、ある程度で全員集まって、出た案を提示。

●横山チーム 
女三人が、ある一定の軌道を歩いている。身の上話を話す。(オープニングじゃなく ても、どこかで使えないか)

●佐藤チーム
・冒頭は5分くらいでいいのでは。

・滝さんの案「今から100年前〜なんたら」をいれるのであれば、情報は最低限でい い気がする。

踏まえて、オープニング案

暗転
遠くからラジオから聞こえてくるような男の声で、年代史(事件?)の音声が聞こてくる
SEとして、生活音にも聞こえるような音がだんだん追加されていく(色んな場所から、 うっすら聞こえる) 例:ミシン、工場音、メトロノーム、風鈴、扇風機etc

(男は舞台上下客説に向かって縦一列、もしくは後ろ横一列に立つ。女たちはランダ ムに舞台上に散らばって立っている)
男、暗転の中いっせいに懐中電灯で女たちがいるほうを照らす。一瞬たくさんの女た ちが見える。

明かり消す。暗転。

男がおのおののスピード、照らし方で女を照らし始める。
女たちはフォルムを変えたり、ゆっくり移動したりしてもいいのでは?
(清田さん(女)を探している態でもいいかも?)

だんだんと清田さんが照らされる回数が増えてくる。
(ここらへんから、SEに混じって男性の音声でト書きが聞こえてくる。イメージとして は、客席後ろ、もしくは、舞台面。客席の下から響いてくるような…)

一瞬男(殺される男)が照らされる

女が男を殺すところが全員の懐中電灯で照らされる(一瞬。明確に殺人とわからなく てもいいという案)

ト書き終わりで、今まで聞こえていたSEが全て砂嵐(雨。横山たちが試演会で使って いたような)に換わる。暗転。〔ト書きの最後、「五体をしろつけるような、音」で、繭が 目覚めるためのきっかけの「音」が何かあるんじゃないだろうか?→あの砂嵐、雨の 音なのでは?という案〕

間。突然客席にいる繭が懐中電灯で照らされる。音全てC.O。繭、台詞。


●藤井チーム

志村が、繭は、客席にいるイメージがない(というか「歩いて」「登場」するイメージが ない。気づいたらそこにいるイメージ)から、もとから舞台にいたらどうか、というとこ ろから考えはじめる。

男性面子が懐中電灯をもって、ランダムに立っている。動きながら、「1939年〜月 〜日」をつぶやく。

段々と、「1939年〜月〜日」から「1939年〜月」、「1939年」と、言える言葉が減 っていく。
1939年、だけになったら段々と高まっていく。高まったな、という瞬間、男が全員舞 台後方、清田さん(女が男を殺すところ?)をいっせいに照らす。

するとさらにその後ろから女たちが出てくる。女たちが出てきたら、男は、清田さんか ら懐中電灯を照らすのをはずして、女たちを照らしてみたりしてみる。

女たちは「昭和14年」を繰り返しつぶやく。男は時々「1939年」と発声する。
女たちは歩いている中、突然一瞬体勢をくずしたりする。段々その頻度が高まってき て、体勢が崩れてあがってくる圧力なども利用しながら、段々と言葉がうずまいて高 まっていく。
あるきっかけで、その中に混じっていた繭が、ぽっかりと浮かび上がる。
ト書きを言う(誰が言うのか??)


佐藤チーム案と藤井チーム案を男性含めて簡単にやってみて、時間になったので、 稽古をおわりにしました。


■そのあと、藤井、滝、かずえ、井口で終わった後、ごはん食べながら話し合い。

簡単にまとめ。

・佐藤チーム案と藤井チーム案を一緒にすればいいさ。きっと。

最初は林さんも言ってたように、静かに導入してくるんじゃないだろうか?(うめチー ム案の男が懐中電灯を持ってゆっくり徘徊しているのは、監視?警備員のような感じ もして、無言でもいいのでは、という意見)

井口 女と男が舞台中に一緒に長時間いるイメージがない。女が舞台中にいるな ら、男がその周囲や、後ろにいる。
→だったら、そこに女が入ってきたら、男が佐藤チームの案の最初にあった位置に (持ち場に戻る、みたいな)移動していけばいいんじゃないか。

滝さんと井口から
・ピラミッドの三角形のてっぺんを最初にきちんと提示した方がいいんじゃないか? (最終的にそこが崩れるのであれば、きちんとその形態を見せたほうがいい)
女を操っている、男。男を操っている、縄。その関係性を提示した方がいいのでは?

男たちの懐中電灯の光を細くして、それが「紐」として見せられないだろうか?それが 幾重にもかさなる。
冒頭で見せた、光の「紐」が、ラストの方では実体の「赤い紐」になって幾重にも張り 巡らされる。

その懐中電灯の明かりの紐に引かれるように、女たちが舞台に現れ始めたり、から めとられているような動きが入ったり、してもいい。
(男は、そのするどく細く見せるようにした懐中電灯と、普通の広角の広い懐中電 灯、二つ持っている)

殺される男が、縄として、縄もその紐の懐中電灯を持っている。それで女(清田)をお びき寄せるように(?)するが、女(清田)操られているようなそうでないような〜という 感じ。でも意思はある、で、男を殺す。


男を殺したところから、爆発的に発語がはじまるのはどうか。(うめ 冒頭で一発がつ んと見せたい かずえ 年号を繰り返すのは、しつこいし、もったいないような気もす る。じょじょにあがっていくのではなくて、あるきっかけで今まで静かだったのにラジオ のボリュームを突然マックスにしたような感じになる(いっせいに全員しゃべり出す、 ほとんど内容が聞き取れないほど)、とか)


よし、次の稽古、試してやってみよう!という感じです。



5月8日(金) 記録:佐々木義人
男性陣参加者:門田、酒井、滝、桑原、長谷川、佐々木
 
◆基礎稽古の後、男性シーンのプランニング。
事前に伝えてあった「P.36〜 藁・テグス・繭の対話シーン」の分割部分を再度確認。

佐々木の方で適当に割り振りをしたものだったので、全員で声を揃える部分、ひとつ の台詞を分割する部分など、「決まり過ぎてないか」といった部分も併せて確認を取 る。
桑原さんが1日(金)の稽古に来ていなかったので、全員で、改めて「P.36 対話シー ン」のイメージなどを確認。
 
・沢山の洗濯物(女の下着など)が吊るされている。

・紐のようなものが張り巡らされているのか、棒であるのかは未定。

・それを男達が支えるのか、舞台上に設置されているのか。

・男達が洗濯物として吊るされているのも面白い。

・洗濯物の隙間から男達の顔だけが浮かんでいるような感じ。

・「隙間」を探して移動する事も出来そうだ。

・洗濯物と絡める。ストッキングの股から顔が出てるとか、シミーズの上部分から顔を 出してまるで着ているように見えるとか。

・台本上、前のシーンが、女性陣による強烈な「分割台詞のシーン」で、後が抑えめ での「雨・のっぺらぼうのシーン」なので、さて、どうやろうか。
 

◆20時頃、酒井さん到着。
志村に手伝ってもらい、取り敢えず「P.36 繭・藁・テグス」のシーンを読んでみる(江 口さんの部分は滝さんにお願いした。)。
 
・手応え…というと難しいが、男全員での分割であった方が面白いシーンになる印象 はあった。

・“顔だけ”の男達が、顔を見合わせたり、繭を見たり、洗濯物と絡みを交えたりなど といった部分でも面白く出来そうな印象。

・声は強めで、テンポを重視、「間」を取り入れられる台詞も必ずあるだろうから、そこ は要研究。閃き。

・ひとまず佐々木の割り振ったもので次回までに台詞を入れ、次回は台本を離して、 方々に散ったり、椅子などで高低を作ったりしてやってみようかと思う。
 

◆「男性シーン」のプランニング。
 
アイディアと、林さんからの提案など、材料が揃ってきたのでまずは“試しに”動いて みる。
 
【椅子取り】
初めは、「椅子に座りたくて仕方がない」ところから始めてみる。
 
「いやいやいや。」とか「まぁまぁ。」とか「ぶつぶつと独り言」みたいなものをそれぞれ が口々に呟きながら椅子の周りを回る。
 
滝さんに手を叩いてもらい、手が鳴ったのを合図に、椅子取り開始。椅子の上の相 手をどかす、何とか場所を死守しようとする。『ツアラ』の時のイメージ。
その時にも「いやいや。」・「まぁまぁ。」・「では、私が。」など、『煮え切らない感じの自 己承諾』みたいな単発の言葉を使いながら。
 
再度、手を叩くと、すっと元の状態に戻る。
これを何度か繰り返す内に、次第に「誰かに椅子に座ってもらう・座らせる(責任を取 ってもらう)」構図へと変化させていく。
 
その内、椅子を持って座らせに行ったりする過程で椅子をはけさせてしまい、『空気 椅子(もはや椅子という飾りは必要ない?)』⇒『誰かを椅子に見立てる』⇒『飲み込ん だり、飲み込まれたりをイメージするように折り重なっていく」⇒『騎馬戦の騎馬が立 ち上がる(下:長谷川・桑原・佐々木、上:門田)』というような流れに。
 
そこで「三月桜は死んだ!」と門田さんが発するとか、うまく喋れない上の人間を下の 人間(騎馬の土台)がフォローするというものや、「糸目切れても苦にならぬ」の一連 の言葉を使うなど出来そう。
 
 
初めて動いた事もあり、当然、うまくはいかなかったが「使えそう」なアイディアである 事は確認出来た。
流れを組み立てたり、どんな言葉を使うか(募集人テキストetc)、猿みたいに見えない ようにする(あくまで人間で、男達である)など、整理は必要。
 

◆「登場」の仕方もやってみる。
 
「月月火水〜」を使い、舞台の方々から、男達が一生懸命行進しながら単独で出てく る。
空間構成的な感じで、空いたスペースに入っていくなどし、単独で舞台上を歩く。例え ば、動きは激しいのに距離はあんまり進んでいないような感じとか。走ってしまうと 「頑張り」しか見えないので×。
 
次第に、それぞれが「誰かの後ろについていこう」とする。
長谷川から出た案で、「他の人間を追い越したいけど、一番前には行きたくない。」と いうキーワード。でも、誰かに抜かれるのは決していい気がしない、というような。
 
殆ど密着する位の距離で相手の後ろにつく。
すると、前のヤツが「ついてくるな!」と発語。それに対し「ついていきます!」と答え る。

「ついていきます!」と言った奴の後ろにも、いつの間にか誰かがいるので「ついてく るな!」と発語。「ついていきます!」と答える。
 
そういうのが、あちこちで行われる。
やがて、大きな列になってあちこちを芋虫みたいに移動するのか、椅子取りの導入 である「輪」になるのかは、未定。
 

頑張りすぎなければ、入りのアイディアとしてはいい感じではないかと思う。
勿論、構図や仕組みが見えるように整理は必要。
 

◆一例として、男性シーンの「流れ」を、ああだこうだと話し合う。
 
@舞台上、方々から男達が単独で行進しながら出てくる。
※「軍歌」を使用。テンション高く。
 
A「ついてくるな!」「ついていきます!」に移行。
次第に中央部分で輪になるか、芋虫の様な列で移動。
 
B「A」の状態の最中、矢部(←一番素朴な感じでいいんじゃないかという意見。)が 椅子を持って出てくる。
中央に椅子を起き、何となくそこに座ってみたりして、はけていく。
 
C男達、椅子に気が付き(それとなく意識するような感じもあり?)、椅子の周りをぶら ぶらと歩く。
※「独り言」だったり、単発の「相槌」のような言葉を使用?
 
D「合図」で、『椅子取り』開始。
※その「合図」が何であるか、また、あるのかないのかは未定。
 
E「椅子取り」が「椅子座って欲しい、座らせたい」に移行。
※最終的には、誰か一人を祭り上げる。
 
F沢山動いて暑くなったので、椅子のその場にいる奴(立ってても座ってても可)が、 下に履いてるものをパタパタさせる。
すると、椅子に座っていた奴が、その様子をちらちら見、「自分のイチモツ」と見比べ 始める。
 
G相手のモノが、自分のモノよりも大きい事に気が付いて、すごすごと椅子を譲る。
それを見ていた周りの男達も、互いに見比べ始め、椅子(イチモツの大きさ順位)が 次々と入れ替わる。
小さい事が判明した奴らは、何だか恥ずかしそうにしている。
 
H結局誰が一番大きいか収拾が付かなくなり、舞台上に横一列に並んでいると、袖 から矢部が洗濯物を持って出てくる。
男達は、矢部に「確認」をしてもらうが、全員のモノを「ふん。」と鼻で笑われ、洗濯物 を投げつけられる。
 
I洗濯物(女物の下着)を丁寧に吊るし始める男達。
※この時に、紐や棒を設置する?
※嫌々とか嬉々としてではなく、そうするのが我々の仕事ですみたいに、真剣に。ま たは、もはや「パブロフの犬」のように、『下着⇒丁寧に干す』が染みついているよう な。
 
J洗濯物を干すうちに、「少しでも高いところに干す」という空気になっていく。
※それが争いや競争になるかは未定。
※それがステータスである、という風になるかも未定。
 
K全員がどう頑張っても「届かない場所」があって、そこを目指し、絡み合うように密 集していくと、『騎馬』が組み上がり、騎馬上の門田が手にした下着を最上部に丁寧 に吊るす。
 
Lすると「下着」は、上に飛んでいく。
飛びきって、終了。

今までのアイディアを活用し、更に話し合いの中で浮かんだもの(イチモツの大きさで 順位を決める)も活用しながらの妄想に近いものなので、これを一例としてそのまま やる事はないだろうけども、「流れのアイディア」というものも見えてきた。
『意味』は後付けで足していけそうなので、外れ過ぎない範囲で、色々遊んでみたい。
 

◆その他、話し合いの中で浮かんだもの。
・下着を吊るすとして、それは「いつ」の下着なのか。
昭和14年の物だとすると、今の様な、いわゆる「下着」という形状ではない可能性が 高い。

・色んな年代の下着が吊るされてても面白い。
吊るすものが、段々新しくなっていくとか(猿⇒人間へ、のような)。最終的には、見え るか見えないか難しい位の細い紐を一本吊るして、これが最新の下着です、というよ うな。

・洗濯物が、ベージュ一色だったら、生々しくて凄いかもしれない。

・台本のテキストをどう絡ませるか、が課題。突然出て来て、取って付けたようになる のは意味が無い。

・娼家の男達が女の全くいない場所で何をしているのかが見えれば。時折、女が出 てくる(矢部)時は、どう空気が変わるのか。
 
 
尚、P.36の対話シーンの割り振りは以下の通りです。
 
 P.36〜P.39
◆繭と藁・テグスの対話
 
藁「まだ〜」…佐々木
テ「闇夜〜」…江口
藁「わけの〜」…門田
藁「糸屋に〜」…酒井
テ「一本道〜」…長谷川
藁「それで?」…桑原
テ「それから?」…佐々木
藁「そうしたら?」…江口
藁「糸屋へ〜」…門田
テ「つまり〜」…酒井
藁「七日七晩〜」…長谷川
テ「それで〜」…桑原
藁「そう〜」…佐々木
藁「あれ?」…全員
テ「あれは〜」…江口
テ「月だよ〜」…門田
藁「穴だらけ〜」…酒井
テ「そうその〜」…長谷川
藁「何だい?」…全員
テ「言って」…桑原
藁「どんな男だ?」…佐々木
 「年は幾つで」…江口
 「何と言う名で」…門田
 「どんな顔を〜」…酒井
※⇒1つの台詞を分割
 
藁「俺は藁だよ。」
※⇒佐・江・門・酒・長・桑の順番で、「俺は藁だよ。」と「俺はテグスだよ。」のどちら かを自由に選んで発語。テンポ良く。
 
テ「俺はテグスだよ。」
※⇒ランダムで、「俺は藁だよ。」と「俺はテグスだよ。」のどちらかを自由に選んで発 語。テンポ良く。
 
藁「俺たちは〜」…長谷川
 「何を〜」…桑原
 「夜まわり〜ハックション」…佐々木
※⇒1つの台詞を分割
 
藁「何だと?」…全員
テ「何を?」…江口
藁「気持ち〜」…門田
テ「まるで〜」…酒井
藁「ただの〜」…長谷川
テ「糸を〜」…桑原
藁「その結び玉〜」…佐々木
テ「すぐ眼の〜」…江口
藁「そう家が〜」…門田

2009年5月19日(火)  井口香
5月19日(火) 19:00〜22:00
記録:井口香
出席:滝・桑原・酒井・佐々木・長谷川・門田・清田・根岸・藤井・井口・横山・志村・和 紅・多美子・矢部・林

●19:00〜  柔軟・発声(Fコア サロメ基本テクスト・繭の台詞使用)
●〜20:00  男性陣+入好・和紅。残りのテラ面子+清田、2部屋に分かれて空間 構成。

●20:10〜 林さんからの話
金曜日にも話したが、今回の方向性としては、実験的な今までのテラの 様なもので はなく、客を突き放さない程度の分かりやすいものにする。
前半は繭を通した世界をシーンとし、中盤は身の上話や、母と繭、縄と繭、それぞれ の対話を使い、物語の柱をみせていく。その後一気に後半へもっていく。
後半からテラの要素を混ぜ、大幅に解体し、何が問題なのか?柱になるものを引き ずり出していく。

今回は重厚な作品にしたい。前回見た男性陣のプランでは軽すぎてしまうので、強さ をもっと出していく。
男性陣→のっぺらぼう(不気味な存在・柱の様な存在)もしかしたらマスクを使うか も。
女性陣→女たち

理生さんを偲ぶ会HP、「あの頃」のページに糸地獄の頃の話があるので、参考にし てみては?

●2部屋に分かれ各々稽古
美術室組;門田・酒井・桑原・江口・佐々木・長谷川・うめ・井口・横山・和紅・多美子・ 矢部

P43〜  霧:多美子、のっぺらぼう:江口
P76〜  1回目 萩:井口、菖蒲:和紅藤:多美子、月:うめ、牡丹:横山、テグス:酒 井、紐:門田、藁:桑原、

2回目 萩:矢部、菖蒲:多美子、藤:うめ、月:井口、牡丹:横山、テグス:長谷川、 紐:江口、藁:佐々木

3回目 萩:横山、菖蒲:うめ、藤:矢部、月:多美子、牡丹:井口、テグス:桑原、紐: 佐々木、藁:酒井

4回目 萩:多美子、菖蒲:矢部、藤:井口、月:和紅、牡丹:うめ、テグス:門田、紐: 長谷川、藁:江口

人が足りない部分はとばして、できる所を繰り返し本読み。


5月19日(火)
記録:入好亜紀
出席:滝、清田、根岸、志村、入好

●P40、雨とのっぺらぼうの対話:滝、根岸、
・雨:情感を排除する。乾いた感じで。「恋愛」における狂気性、クレイジーさがでると 良い。男女の心中を聞かせるのではなく、過去の自分を今の自分が語るような感 覚。狂気じみた愛情が芯にある感じで発語する方向で。
・のっぺらぼう:
ぼそぼそと言う感じ、今の感じをキープ。

●P62、繭と縄の対話
滝、志村、
前後にくるシーンにもよるが、今日の感じをキープする。まだ中盤なので、繭はあまり 感情的にならないように。後半で繭が完成するように。
支配する男(のっぺらぼう)たちと「叛逆」する女たちの中間位置にいる感じ。

●P91、母と繭
今日は試し読み。
・清田さんの母と繭の関係のイメージ→母も昔、繭だった。家系図を持ち出した頃の 母は純粋であったと思う。母は昔の自分と対話している感じ。母は現実を知ったから 母になったのか、まだ掴めない感じ。
・林さんから。
糸地獄においての母と娘をどういう感じで理生さんが捕らえていたのかをまず考察し なければならない。
母と娘は時間を隔てた鏡に映った自分と自分。地で結ばれた構造の中に入っている 母。それを破ろうとしている繭。

2009年5月12日(火)  矢部夏緒里
5月12日(火) 19:00〜22:00
出席:根岸・藤井・井口・中内・入好・横山・和紅・志村・上田・多美子・矢部・清田・酒 井・桑原・江口・佐々木・長谷川・門田
欠席:林・滝


●ストレッチ
●懐中電灯の筒作り
●男性陣、女性陣に分かれて話し合い



女性チームプランニング概要
記録:矢部夏緒里

●女性陣全員で話し合い。
前回で藤井が言っていた、冒頭の静かなシーンから爆発的に発語するのはどうか? という所から話し合いに入る。

テクストは何にするか?

・風=糸の印象がある。「風〜」の部分をレジして使うのはどうか?(藤井)

・「風〜」を使うならば、P.30の部分(歌)を使って、年号や事件、「東京府下吾妻〜」 (情報)も言ってもいいのでは?

・爆発する所からスタートして、ゆくゆくはト書きの「闇‥」に集約されるイメージ。この ト書きを連声として使えないか?低く雑踏のような、あやふやな声の中に繭が浮かび 上がる。(和紅)

考えが行き詰まったので、前回の稽古で考えた流れをふまえ、冒頭の構成を考え る。


・最終的に殺すのであれば、最初は男女二人いるだけでもいいのでは?明確に殺す のを見せるのではなく、殺すか殺さないかぐらいでいいのでは?(志村)

・『糸地獄』がテラになっていく流れがいいのでは?始めは糸地獄のピラミッド型を見 せる(段差を使えないか?)(井口)

・岸田理生の糸地獄はおとぎ話、ロマンチックを提示している印象を受ける

砂袋(繭玉)の扱い


・繭玉を落とすのを見せるのではなく、音(生音)を聞かせてもいいのでは?(この場 合、繭は舞台上にいる)

・冒頭の繭の台詞「これは、何」の糸をライトで表す(繭は客席にいる)

・縄が殺される寸前で持っている繭玉を落として、最下層の繭が生まれる。


これらの話し合いをふまえ、実際に動いてみる。

@男が舞台上にいる。舞台中央の高い段差には滝(天皇)がいる。

A男が手に持っている懐中電灯を点けたり消したりしながら歩く。(警備員のような感 じ)
この頃からラジオの音が小さくF.I

B上手か下手に懐中電灯の明かりが点く。その明かりに引き寄せられるように女が 出る。
女を出した男は舞台左右のどちらかに立つ。(上手に明かりを当てたなら下手に立 つ、逆も同じ)

C最後に清田が出たところで懐中電灯のあかりを全部消す。
舞台左右から明かりが横一直線に点く。女が正面を向いている。
女の間を清田が歩く。滝の前に清田が立つ。一斉に明かりが清田に集中する。清田 は滝を殺そうとする。
殺す寸前で滝は手に持っていた砂袋(繭玉)を落とす。

ここまで試しました。この後のテクストをどうするか?ト書きなのか?

というところで稽古を切りました。


男性陣稽古記録:佐々木義人
参加者:門田、酒井、桑原、江口、長谷川、佐々木
 
■全員での基礎訓練のあと、男性・女性陣と別れてプランニング。
 
■先週(8日)の稽古で出たアイディアを具体的に詰めてみる。
 
男性シーンの「入り」として
 
◎行進
◎月月火水木金金
◎「ついてくるな!」「ついて行きます!」
 
が使えそうで、且つ面白くなる可能性があるという事で、ひとまずこの線で固めていく 案。


下記に連ねた様々なパターンで、実際に動いてみる。
 
・舞台方々から単独で行進(のような動き)しながら出てくる。

・空いたスペースを埋めるように単独行進する。

・この際、「月月〜」を比較的強め(テンションを高く)に出す。

・誰かの『後ろ』につこうとする(←自分が2位になる事で、責任ある立場の1位を強制 的に作ろうとする)。

・ただ後ろについただけでは、「やる側」として「分かりにくい」ので、服を引っ張るなど の合図を設けてみる。

・「ついてくるな!」「ついていきます!」で終わってしまうと、妙な間が空いてしまうの で、「ついていきます!」の後に、もう一度「ついてくるな!」を入れて離れてみる。

・一人の背後に残りの人間が、全員、一気について行ってみる(1対5)。団子状。

・その際、引きずる事が出来る程度に服を引くパターンと、完全に動けなくするパター ンを試す。

・言葉と動きのテンポが早くなると、やっていても観ていても「ツラく」なるので、少しゆ っくり目のテンポで「行進&月月〜」をやってみる。

・ひとりの背後に残りの人間が、徐々に列を成すようについて行ってみる。芋虫状。

・その際、2番手以下は、少しずつ姿勢を低くし、「1位」と差別化を図る。また、下位 の方が責任は無いが肉体的に辛い…というような。最後尾は四つん這いや、寝そべ るくらいでもいいかもしれない?

・「ついてくるな!」の変則パターンで、「ついてこい!」「ついていきます!(はい!)」 「ついてくるな!」というパターンを入れてみる。

・横一列のような状態になり、先頭の人間が「ついてくるな!」と2番手に言うと、2番 手が3番手に、3番手が4番手に…という順番で「ついてくるな1」を次々に下位の者 に言っていく。最後尾の人間が「ついてくるな!」と言われて、「ついてきます!」と答 えると、今度は逆の順序で「ついていきます!」を先頭まで戻す。先頭の人間は2番 手に「ついていきます!」と言われると「ついてこい!」と前を向く。その瞬間、2番手 以下に向かって「ついてくるな!」と一喝する、更に変則パターン。

・一人で「ついてくるな!」「ついていきます!」をやる(←見えない影。存在しない 影。)。

・自分がついて行っていない人間の発した「ついてくるな!」に反応して「ついていきま す!」と言う。
 
 
ある程度の「ルール」がなければ、猿のようになってしまうので…とも思ったが、やは り最初に限定し過ぎるのも表現の幅を奪ってしまって面白くなくなってしまう。

全員、納得の行かない様子。それは、このアイディアが「どうしようもない」のではなく 「面白くなる可能性があるのに…」というところからの発信のような気がした。

何かが圧倒的に足りなく、それは「とりあえずやってみよう」では解決しない問題なの かもしれない。
 
「行進」や「月月〜」は、表現を膨らませる為のあくまでエッセンスのようなものであっ て、それ自体が本筋では決してない。では『本筋』とは何か。少なくとも、前回の稽古 で長谷川から出た「頂点(1位)になるのは嫌だが、いいポジション(副・サブ)にはいた い。でも誰かに抜かれるのは決していい気がしない。」というところから何か出そうな 気がするが…。
 
「意味付けは後から、どうとでも出来る」
 
ので、もっと気楽に、もっと色々試してみよう。
一度、矢部に椅子を持って出て来てもらうのを試してみたが、どのような状態であっ ても、ぶつかってしまったりするよな「危険」はなさそうなので、やはり「ある」よりは 「(男が)持ってくる」か「持ってきてもらう」方が良いかと思う。
 
 
■その他、外の空気に当たりながら出た案。
 
・「壁を磨く」、「床を拭く」、「皿を洗う」、「洗濯物をたたむ」などといった、『労働』をキ ーワードにそれぞれが独自の簡単に繰り返せる動きを作り、スペースを移動しながら 動くとか?

・その時、「募集人のテキスト」が使える? もしくは「女工哀歌」のテキスト?

・または「p.22〜 縄と糸女達」の掃除にまつわる辺りのテキスト?(p.24まで)

・そうやって動いていると、袖から滝さんが出て来て、中央辺りで、衣裳の上からはい ている女物の下着を脱ぎ始める。
男達は気が付かず、働いている。脱ぎ終わると、それを投げ「ふぁさ…。」と落ちるや いないや、男達は一斉に下着に群がる(下着が欲しいのではなく、たたんだり洗った りの条件反射的な)。

・何かしらの「力技」や、「パワー」など、男性陣に求められていて、男性陣“が”出来 るものがある。それを取り入れるべき。

・「入り」から、列になって行進して登場。その後、散るというのも面白い。
 
 
■「入り」の部分で、先頭になる人間を決めたり、あいだの展開、最終的なポジション などを定める事で、ある程度、すっきりした形にする事は出来たが、それでこちらの 見せたい「構図」になっているかは不明。おそらく、なっていなかったり、やっていて気 持ちの悪い違和感があったりするが故に「納得のいかない様子」に繋がっているの だと思う。

「想像の産物」を「実際に表現」しようとする際の苦悩だけに避けては通れないと思い つつ、苦しい状態が続いている。

2009年5月13日(水)  根岸佳南江
5月13日(水) 19:00〜22:00
記録:根岸佳南江
出席:根岸・藤井・井口・中内・入好・横山・和紅・志村・多美子・矢部・清田・江口・ 佐々木・長谷川・門田
欠席:酒井・滝

●19:00−20:00
林から信州の岡谷(岸田理生氏の故郷)に行った話。

蚕の慰霊塔、博物館があり、養蚕が盛んだった事が伺える。諏訪湖と山に囲まれた 土地で農地が無く副業をし、起業精神が旺盛であった様だ。地縁、血縁で集まり、文 中の「縁」等にもつながる部分が見えた!
蚕は80度に温めて紡ぐ。その際に、ニオイがするらしい。



●前回、出演メンバーだけで作ったオープニング(OP)の試作案を林に見せる。

2009年5月15日(金)  横山晃子
5月15日(金) 19:00〜22:00
記録:横山晃子
出席:根岸・藤井・井口・中内・入好・横山・和紅・志村・多美子・矢部・滝・酒井・江口・ 佐々木・長谷川・門田
欠席:清田、桑原

●19:00〜柔軟
●19:20〜F発声、コア
●19:45〜ポスター、チラシ配布。公演当日、受付チーフをやっていただく林みくさん が来てくださいました。お世話になりますとのことで、あいさつ。


●林さんからの話…今回の方向性として、実験的・前衛的な今までのテラ・アーツの ものに比べ、比較的、客を突き放さない程度に分かりやすいものになるとの予想が 伝えられる。

が、後半からテラ・アーツ独自の要素を全面的に導入して、最終的には「爆発」させ ていく作りにしたい。ある程度台本には沿っていくが、世界を物語の中だけに閉じ込 めないで、「壊す」ということで毀すことが目的ではなく、「壊す」ことで姿を見せる本体 を、作品の可能性を引きずり出したい。とのこと。


●20:45〜シーン練習。
林さんからの最初のシーン案:清田、志村以外女達が、左右壁前に90cm間隔くらい で5人ずつ並んでいる。女達の前には遮幕。幕からゆっくりと手を出し動かす。(この 時のイメージとして、格子の中から手を出して人を呼び寄せる感じ)手だけがクロー ズアップされて見える。

次のシーン:P12〜
繭、藁、テグスのシーン
繭(センター前)藁、テグス(上下奥)ト書き二人(上下前)
・繭がうずくまっている。上下前からト書き『闇…音がする』が聞こえる。ト書き終わる と、繭ゆっくりと立ち上がる。そのに手は何か握られている。繭セリフ『たった今目が 覚めて〜』
藁、テグス上下奥から繭に向かって懐中電灯を照らす。会話。

二回目:藁→酒井、テグス→佐々木

藁、テグスに関しては、まだ誰かは要検討。

P15〜、女学生と繭の対話シーン
左右壁際に女達並ぶ。
繭のセリフ『すぐそこにあるのに、行かれない』を分割。
壁から声が聞こえて来る。繭、ゆっくりと後ろを向き進む。途中女学生、階上より現 れる。
繭、女学生との会話。

立ち位置、動きのタイミング等はだいたいでのあら立ちで、今日は終了。

2009年5月20日(水)
5月20日(水) 19:00〜22:00
記録:藤井理代

※休み・遅刻多数。
出席:根岸、藤井、井口、中内、入好、志村、矢部、清田、和紅、江口、長谷川、門

●19:00〜柔軟後、F2を2階・3階に分かれて20:00まで。

2階メンバー:藤井、井口、入好、志村、清田
3階メンバー:根岸、中内、和紅、矢部、長谷川、門田、江口

●20:15、一度3Fに集合

F2的に繭と女学生の対話。
・今までの感じはとりあえずナシにして自由にやってみる。
→エネルギーを10作ったら、それを足場に切り替えて利用。外に出すのは3くらいに してみるとか自分の中で「ポイント」を探して出す。繭リードではなく、女学生リードで 行ける様に。課題は残るも入好少しづつよくなってきてる。

●21:00〜、再び分かれる。

3階メンバー:入好、志村、江口、長谷川、門田
2階メンバー:残り全員
・2階:「そう嘘です」のくだりを数回読み、その後空間構造をしながらセリフを発語す る。人の並びや順番を変えるなどしなから体に言葉をなじませる。(21:40まで)

・3階:男性陣「糸目切れても〜」のくだりをF2的に利用し地盤をつくり繭のセリフに 入る等をしていた様子。

●まとめ
メンバーが少なかった故出来ない事はあったが、身体訓練ややっておきたかった事 に手をつける事ができた。
男性陣の「強い声」はやはりインパクトが強く体に響く。舞台では拮抗するものとして 重要になると思った。
女性陣は繰り返し稽古し言葉を体にどんどんなじませて行きたい。

2009年5月22日(金)  中内智子
5月22日(金)  19:00〜22:00
記録:中内智子
参加:林、藤井、井口、横山、佐藤(多)、矢部、清田、中内、門田、滝、江口、佐々 木、長谷川
途中参加:根岸、酒井、志村

●19:00 ストレッチ

●19:15 2グループに分かれてF式基礎2「すばらしいわ」と空間構成。
・A:門田、江口、佐々木、長谷川、佐藤(多)、矢部
・B:清田、藤井、井口、横山、中内、滝、根岸

●20:00 林から演出関連の話

■[斜め]を使いたい。
・観客に対して視覚的に[斜めのライン]を使用したい。
・視線が交錯する。
・斜めを使用しても観客に対して弱くならないようにする。
■文章量が多くはなるが、言葉中心ではない。
■水曜日の稽古を見て[鏡の構造]案が浮かんだ。
■「身の上話」の使用方法は検討中。
■今まで指定している箇所のテクストは使用する。

■舞台案:照明と要相談
壁に立っている人の横(体にあてないよう)に細いラインの明かりを上から射す。
立っている人は手鏡によってその明かりを反射させる。

●20:20 休憩

●20:30 2グループに分かれる
A:門田、滝、江口、佐々木、長谷川、横山、酒井、志村
B:清田、藤井、井口、根岸、佐藤(多)、矢部、中内

A…男性で「場」を作る
B…「そう、嘘です」のテクストをなじませる。
順番に回す+空間構成

21:15 全体稽古(台本前半部分)
繭:志村 藁:江口 テグス:佐々木 女学生:横山

舞台中央に男たち(呼びこみ)

繭下手前(繭、藁、テグスのシーン)
※壁に女2人立ち、懐中電灯の明かりを天井に向ける。

※壁の女、懐中電灯の明かりを繭に向ける。
繭下手前、女学生下手奥(繭、女学生のシーン)

繭下手前、藁・テグス上手奥(繭、藁、テグスのシーン)

p40〜雨とのっぺらぼうのシーン
雨のテクストを分割し[1根岸 2横山 3井口 4中内]の順で回す
のっぺらぼう:滝


稽古終了


5月22日(金) 
記録:佐藤多美子

女性陣+滝チーム、
男性陣(佐々木、門田、長谷川、江口)+多美子、矢部チームにそれぞれ別れて身 体訓練を行う(男性陣チームは基礎2)。

主に男性陣中心で基礎2を行い、最初の声をまわしていくところから最終的に発語し ながら動くところまでもっていった。

その後林さんから、四つん這いになってP.48〜49のっぺらぼうの台詞を江口、佐々 木、長谷川、門田の順にまわしていくように指示が出たため4人でまわしてみる。
基礎2をある程度やりこんだあとという事もあり、身体の奥底から声が出ている感じ だった。どこかのシーンで使えるのではないか?という意見が出る。

2009年5月26日(火) 佐藤多美子 
5月26日(火) 19:00〜22:00
記録:佐藤多美子
参加者:林、根岸、藤井、井口、中内、上田、横山、入好、和紅、多美子、矢部、清 田、滝、江口、佐々木、酒井、門田


●19:10〜20:10
男女別れてF式基礎2、空間構成(女性陣は基礎2のあと、「嘘・・」を使いながら空間 構成)

●20:10〜20:20
試しで、男性陣基礎2の言葉を回しいくような感じでP.7の「糸目きれても」〜「いやだ 母さん」、P.20〜24、P.27からの三月桜のくだりなどの台詞をまわしていく。

●20:20〜20:30
休憩

●20:30〜21:40
音響の落合さんがいらっしゃったので、復習もかねてオープニングからの大まかな流 れを通す

@前に女性陣で考えたオープニングをやってみる。

舞台2階中央に門田さん、舞台下に男性陣がいる
門田さんが手に持った懐中電灯で舞台下の男性陣の体に向けて明かりを着けたり 消したりする

舞台下にいる男性陣も懐中電灯で足元を照らし出す

男性陣、上手奥・下手奥へと明かりを照らす
その光に誘われるように繭と母以外の女たちが出てくる(光は一本の糸のイメージ)

母が出てくる、女たちの動きが止まる。
母が女たちの間を移動し始める。男性陣は光で母を捜し始める。女性陣は地面に向 かって崩れてゆく

暗転、少し間があり男たちが中央へと光を照らすと母が父を殺すシーンが映し出さ れる。殺す寸前で暗転。


A林さんの案、オープニングから前半の流れ

上手に繭、舞台中央に男性3人、下手の壁側に女たちが立っている
男性陣P.7の台詞「糸目きれても」〜「いやだ母さん」をまわす

繭、藁、テグスの対話
藁、テグスが退場すると女たち繭に向かって手招きする

女学生入ってくる。女たち手招きをやめる。
P.16〜18繭、女学生の対話

男性陣が3月桜は死にましたのくだりを読む
その間を女たちがゆったりとした感じの空間構成をする

女たち止まる。P.25繭、女学生の対話

女学生退場、繭の独白「まぶしい…なにも見えない」

P.27〜30ジューク一族のくだりを男たちが読む。繭女たちの間をゆっくりと移動し始 める

繭が「そう嘘です」と呟くと女たちP.33〜35の繭の台詞を読みながら空間構成

P.36〜39繭、藁、テグスの対話。女たちゆっくり移動し始める

のっぺらぼう、雨の対話

P.46繭「私いろんなもので結ばれて」の台詞を繭がつぶやくあとに女たちがリフレイ ンするようにつぶやく

ここまでが前半部分

中盤はモノローグ化した身の上話を使いたい。その中に繭、母、縄がいる感じにした い。

2009年5月29日(金)  上田誠子
5月29日(金) 19〜22時
記録:上田誠子 加筆:林英樹
出席:根岸・藤井・井口・中内・横山・入好・和紅・志村・多美子・矢部・酒井・江口・ 佐々木・長谷川・滝・門田・上田

●概要:前半部(30分)を前回の稽古後に演出チームで話し合った際の案もミックス して構成し、実際に動いてもらい試作する。このままではまだどうにもならないが、こ こを叩き台にしてもう少し考えを整理すれば、何とか行けるかもしれないという手ごた えを得る。3つのシーン(第一景、第二景、第三景)構成案にほぼ固まる。


●内容
各自ストレッチ

男性陣と女性陣に8:30まで別れる。

《女性陣》
前回、前々回の構成の試し案を前提にプランニング。
林さんより:始まりの部分は原作を大幅に手直ししているが、対話部やモノローグ部 分のセリフの意味するものは強い。ので、余計音声、リズムといった身体性の内側 に取り込む必要がある。
「主役は空間」、そういう配置や構図を作る。

27日の稽古後、演出部(横山、和紅と林)で打ち合わせをし、舞台美術案、女たちの 配置、「壁のおんな」というコンセプト、「身の上話」モノローグ(林による改作テクスト) を一人一人割り当てるなどの案が出たことを伝える。
◆身上話割りあて◆
藤……上田、萩……井口、菖蒲…和紅、松……中内、梅……横山、牡丹…藤井、 月……矢部、桜……多美子。

この女たちの「身の上話」改作モノローグテクストは何パターンか(発語の用法の)で 使用したい。空間構成を土台にした空間、動作表現を作るにしても、それぞれが自 分が「誰」か、具体的な「身の上」話を前提に特定したほうがやり易いのでは、との意 見から。

◆『糸地獄』のテキストラインをある程度、軸にしている前半部の粗立ち稽古を進め ているが、これから言葉以外の部分(空間、場)を並行して作っていきたい。
◆「壁の女」に関して
・「いま、ここ」にいない女たち、というコンセプトから。
・動きの具体案→手の表現からたとえば一人だけ壁から'ふぅ'と抜ける→動詞のエク ササイズの様な平行して女学生との繭の会話があるとか・・・。
・手の表現、照明→部分の拡大、クローズアップ手法。
・引っ張り出される、気づかれるの待っている、忘れ去られた存在、歴史の中に埋も れた存在を象徴。劇の場へ、召喚されるのを「待っている」存在。

大雑把な作品組み立てに関してほぼ固まってくる。
第一景:男の声中心
第ニ景:女たち(身上話)が前面に。
第三景:「男」と「女」(メタファーですが)の対立構図が明確に。

8:33 …休憩…

8:43 合同
取りあえず、女が壁に立つ形で大雑把な組み立てを試作してみる。

   ー内容略ー

5月29日(金) 19〜22時
記録:上田誠子 加筆:林英樹
出席:根岸・藤井・井口・中内・横山・入好・和紅・志村・多美子・矢部・酒井・江口・ 佐々木・長谷川・滝・門田・上田

●概要:前半部(30分)を前回の稽古後に演出チームで話し合った際の案もミックス して構成し、実際に動いてもらい試作する。このままではまだどうにもならないが、こ こを叩き台にしてもう少し考えを整理すれば、何とか行けるかもしれないという手ごた えを得る。3つのシーン(第一景、第二景、第三景)構成案にほぼ固まる。


●内容
各自ストレッチ

男性陣と女性陣に8:30まで別れる。

《女性陣》
前回、前々回の構成の試し案を前提にプランニング。
林さんより:始まりの部分は原作を大幅に手直ししているが、対話部やモノローグ部 分のセリフの意味するものは強い。ので、余計音声、リズムといった身体性の内側 に取り込む必要がある。
「主役は空間」、そういう配置や構図を作る。

27日の稽古後、演出部(横山、和紅と林)で打ち合わせをし、舞台美術案、女たちの 配置、「壁のおんな」というコンセプト、「身の上話」モノローグ(林による改作テクスト) を一人一人割り当てるなどの案が出たことを伝える。
◆身上話割りあて◆
藤……上田、萩……井口、菖蒲…和紅、松……中内、梅……横山、牡丹…藤井、 月……矢部、桜……多美子。

この女たちの「身の上話」改作モノローグテクストは何パターンか(発語の用法の)で 使用したい。空間構成を土台にした空間、動作表現を作るにしても、それぞれが自 分が「誰」か、具体的な「身の上」話を前提に特定したほうがやり易いのでは、との意 見から。

◆『糸地獄』のテキストラインをある程度、軸にしている前半部の粗立ち稽古を進め ているが、これから言葉以外の部分(空間、場)を並行して作っていきたい。
◆「壁の女」に関して
・「いま、ここ」にいない女たち、というコンセプトから。
・動きの具体案→手の表現からたとえば一人だけ壁から'ふぅ'と抜ける→動詞のエク ササイズの様な平行して女学生との繭の会話があるとか・・・。
・手の表現、照明→部分の拡大、クローズアップ手法。
・引っ張り出される、気づかれるの待っている、忘れ去られた存在、歴史の中に埋も れた存在を象徴。劇の場へ、召喚されるのを「待っている」存在。

大雑把な作品組み立てに関してほぼ固まってくる。
第一景:男の声中心
第ニ景:女たち(身上話)が前面に。
第三景:「男」と「女」(メタファーですが)の対立構図が明確に。

8:33 …休憩…
8:43 32で合同:取りあえず、女が壁に立つ形で大雑把な組み立てを試してみる。

第一景案
女六人手招き
上手奥から
横山・井口・和紅
下手奥から
中内・根岸・上田(代:多美子)

「そう嘘」を横山から途切れながら、休みながら言う。
続けて女たち同じように入っていく。
他の女が台詞入ったら止まってもよし。

繭が歩いてくる

女たち手を下ろす。
台詞は続ける。

藁(江口)テグス(佐々木)P36〜入る

以上合計7'00''
手招き…1'00''


試し〜続き〜
上手…繭
下手…藁(江口)テグス(佐々木)
P11〜
上下女たちはいたまま・・・。

P16〜
女学生(代:横山)と繭
繭台詞「わからない私。」で女たち壁から抜ける。
抜けて30秒で台詞
移動しながら「そう嘘…」
立ち止まりフォルムを変える
※フォルム変えの時は声出さない。
強弱つけても良し。
《壁から出る順番》
横山→根岸→和紅→中内→井口・多美子同時

男性のみの掛け合いプリントDの台詞。
@江口
A門田
B長谷川
C酒井
女たちは移動しながら続ける。

P25〜
繭「どこへゆく」
→女たち止まる
繭「待って」
→女たち動く
→繭も動く
…同時に…
男性のみプリント「E‐改」
紐…酒井
縄…佐々木
@ABは前と同じ。

女たち
「そう嘘…」を割り振り通りに回す。
台詞全て終了したら腰をおとす。

P36〜

P40
雨…根岸
のっぺらぼう…滝
女たちは姿勢変えても良い。

2009年6月2日(火)  佐藤和紅
6月2日(火)19:00-22:00
記録:佐藤和紅
欠席:志村、たみこ、酒井
出席:根岸・藤井・井口・中内・入好・横山・和紅・上田・矢部・清田・桑原・江口・佐々 木・長谷川・門田・滝・林



●林さんから、「糸地獄」ラインと「壁の女(テラスタイル・コンセプト)」ラインの構図の 説明を図で説明。
ストーリーラインをつくっていきながら、創作部分をかんがえていく。

「壁の女」は独立した存在。下部の両脇にいて、時々「物語」に介入してくる。
私たちもいずれそうなる「いま、ここ」にいない人たち。

男性陣は始めは素面で、後半(のっぽらぼう)は半マスク。

まずは「ストーリーライン」(軸)を立てる。

●20時からストーリーラインの流れ。

@藁(桑原)、テグス(佐々木)、繭(志村)の対話部@。
藁、テグスは懐中電灯を持ってあたりを照らしながら。

A繭、女学生(入好)の対話部@。
女学生は階段中腹の台にいる。

B改定D(三月桜)テキスト
男四人(長谷川、江口、門田、(酒井))
舞台中央の階段した。

C繭と女学生の対話部A。


・Cのあと
壁の女たちが手鏡で繭に光を集める。
繭は移動しつつモノローグ。
スクエアが一つできる。「壁の女」の一人がそこへ入る。

D改定Eテキスト「主人と娼婦」
男四人と、別に滝がいる。

Dの途中?から工場音、年代史?がSEとして入ってくる。
スクエアが合計6つ、舞台中央の繭を取り囲むようにできる。
「壁の女」たちはそこへ入る。


E音と絡めて、スクエア内の女たちは糸を断ち切る(?)ような動作をする。

「そう嘘です〜」のテキスト、繭からスタートして、女たちで回す。
(女たちの順序は 横山→かずえ→根岸→中内→香→誠子)

おんなたちは壁に戻る。藁、テグスが位置につく。
強い音。転換。

F藁、テグス、繭の対話部A。

雨、ノイズ音。

Gのっぺらぼう(滝)と雨(根岸)の対話部。
のっぺらぼうは階段中腹のどこか。雨は上前。

※第@景はここまで

Hプロローグテキスト(「糸目切れても〜」)
佐々木、江口、長谷川、繭を取り囲むように三点に陣取る。
テキスト回す。
繭は、その「声の呪縛」に抗うような動き。

I繭モノローグ部(おんなたちと対話していくような感じで)

のっぺらぼうと繭のダイアローグ。

J中央二つのスクエアに男女が背中合わせで立ってテキストを読む。
繭は中央、縄は階段上。

(ここらへんで「身の上話」を入れて、第3景への伏線をつくりたい)

K繭、母(清田)のダイアローグ。

第2景はここまで。

2009年6月3日(水)  根岸佳南江
 6月3日(水) 19:00-22:00


●まず林が大まかな3景までの構成・演出基礎プランを皆に提示する。
第2景までは原作を下敷きにしつつアレンジしたラインをつなげ、
第3景でもう一つのラインが前面にせり出す。1、2景でその伏線を張っておく…。

●その後男性陣は稽古場で抜き稽古。

●女性陣はプランニング。
・サブリミナル効果のような感じで女達が入りこんでくる。侵食して混ざり合う。
・女達が壁(異次元)から出てくるキッカケは母ではどうだろうか。
・繭が中途半端な気がする→何でここに居るのだろう?と思っているから…繋ぎをき ちんと作る必要がある。
・母=一人の女ではなく、皆が母で繭でもある。共通のもの(例:動き、衣裳等)・2景終 わりに殺すシーン入り3景に入るとしっくりくる。
・繭が殺す対象は生身でなく「場所」ではないか。
・3景の繭の長ゼリは、皆が狂乱の中入るイメージ。

・ジョーゼット幕(長さや吊し方バラバラがよい)裏に女達が常にゆっくり動いている(そ こに女達の生活があるのかもしれない)。懐中電灯の明かりが女達にも当たり、女学 生で止まり話が展開していくシーンはどうだろう。
・藁、テグスはずっと監視しているような感じがする。

2009年6月4日(木)  矢部夏緒里
6月4日(木) 19:00−22:00
欠席:林、滝、桑原、江口、多美子
WS「出向」組:志村、入好、清田、門田
出席:根岸・藤井・井口・中内・横山・和紅・上田・矢部・佐々木・長谷川

●19:00〜柔軟、声出し
●19:30〜前回のプランニングを参考に、
・ジョーゼットを使うとどう見えるか。
・「たった今、〜」から女学生の「娼婦に〜」のシーンまで構成を固めていく。


〈ジョーゼットの光の当たりを試す〉
舞台中央から壁に向かって懐電の明かりだけをあてると、かろうじて壁の女のシルエ ットが見える。しかし、ジョーゼットの中で上から当てると、女の表情までうっすら浮か び上がることがわかった。

〈一景の構成〉
・前回までの流れだと繭に照明が当たってモノローグという流れだが、先に繭に照明 が入ると、藁/テグスの懐電が目立たなくなるのでは?という案がでた。その点も考 慮しつつシーンを構成。

@母が男を殺し、暗点中雨の音がC、Oしたら繭「たった今〜」発語。
(発語中に立ち上がっていく)
女達壁にいる。
A繭の台詞終わりぐらいから藁、天井から下へサーチライトのように懐電を当てる。 (視界の隅に繭を捉える感じ)
Bテグス、客席から舞台奥に短めに懐電を当てる。
C繭の台詞が終わったら藁、テグス台詞と同時に懐電を繭に当てる。
D繭が立ち上がりきる前に繭、壁の女たちに照明が入る。女達、ザワザワ動いてい る。
E繭「どんなことでもやるんだのに」の台詞が終わったら壁の女達の照明C、O女 達、止まるが内面は動いている。
F繭と女学生の会話が終わったら男性陣「三月桜」。
実物大を即席で作り、実際の空間を体感してもらう。


ここまで構成を固める。音としては
・時間のズレを感じさせたい(ラジオ?)
・工場の音
を次の稽古で試してみるということになった。

2009年6月15日(火)
6月15日(火)  19:00〜22:00
稽古場:江古田ストアハウス
記録:KY

5月〜6月前半と創作のための葛藤が続いたが、ようやくトンネルを抜けた感じ。

今日は第2景の基本プランがほぼ出来上がる(これで全体の7割)。

実際に粗立ちで試す。行ける感じ。スピーディーな展開、2〜3分に一度は大きく場 面が変わる。リズム、テンポもアップ。第一景は静かに始まり、男性シーンが軽快な テンポで随所で舞台を締める。そして第2景でいよいよテラ本体の「女子軍団」が舞 台上に展開する。そんな流れに。

2009年6月16日(水) 
6月16日(水) 19:00〜22:00
記録:KY
女子陣+桑原、佐々木


いよいよ、テラ・アーツ・ファクトリー十八番、世界で唯一F式身体表現(身体+テクス ト+音楽)による即興シーン造形に着手開始。「プリミティブな歌舞劇」の精髄がここ にある。

前後の構成が決まり、その間に10〜15分程度の長さで入る予定。ここが前中半部 分の舞台で一番のヤマ場になる予定。集団創作シーン。今日は女子メンバーで試し ながら、アウトラインを考える。メンバーにとって一番、楽しいシーンである。からだの 遊びが高度に発展した場面、でもある。

2009年6月17日(水)  入好亜紀
6月17日(水) 
記録:入好亜紀

●藤井、横山、佐藤を中心にメンバー主体で「集団創作」。

第二景「身の上話」シーンの造形、構成、試演
@空間構成+スクエア
     ↓
@+「身の上話」
(上記を繰り返し)

スクエアのニュアンスとして、「ジュリエット」に近い。(スクエア滞在時間は20〜30秒)
身の上話が入ってきたら平行して、動作のスクエアと身の上話のスクエアが点在して いく。
スクエア内では苦闘、抗うかんじ。外は世間のイメージ。現実を突き付けられ、世間 にもまれるかんじ。

●試演
1回目、5分
2回目、6分
ジョーゼットの中と外とスクエアの違いを明確にさせ、制約なしにいろいろ試してみ る。

●試演後のそれぞれの意見

○ジョーゼット内
・安全地帯なかんじ
・絡んだりとかいろいろできそう
・外に比べると陰気なかんじ
・母体の中のイメージ
・外に出てく時は生まれるかんじ
・中は意識の外、細胞がくっついたり分裂したりしてる
・個人競技のようなかんじ

○全体

・油時計のイメージ
・いろいろ出来る
・意識的ではないところで全体が同じ部分を共有して無意識に動く、又は動かされる
・スクエアの外で空間構成をすると切替が難しい
・横の導線だけでなく、縦のラインを有効に使う
・スピードのメリハリをつける

○スクエア
・自分と外との違いが明確になる。個体として身体、感情が明確になる
・他人と出会いやすくなる
・団体競技のイメージ
・手だけとか、身体の一部が集まるとかどうか

以上をふまえて3回目(7分12秒)
今度は動き方よりも、スクエアに至る導線やジョーゼットの中の感覚を意識する。

「身の上話」、発語は理生さんの言葉に引きずられないようにする。発語する人はフ ラットに立つ。動作をしているスクエアとの対比を明確にする。
3分30秒以降に身の上話を入れる。「イグアナ」のおたく女くらいの発語で。(強めだけ どトップまでいかない感じに)

4回目タイム
0'50 パーマネント
3'38 横山身の上話
4'22 井口身の上話
4'43 上田身の上話
5'06 中内身の上話
5'23 和紅身の上話
6'12 多美子身の上話
6'40 中内身の上話/
(トータル7分)

小さな「身の上話」が点在するかんじ。男性陣の「のっぺらぼう」を所々入れて上げて いく。
音やラジオ音声、動作だけの部分を入れる等、バランスを考える。



●いよいよ、テラ・アーツ・ファクトリー十八番、世界で唯一F式身体表現(身体+テク スト+音楽)による即興シーン造形に着手開始。「プリミティブな歌舞劇」の精髄がこ こにある。

前後の構成が決まり、その間に10〜15分程度の長さで入る予定。ここが前中半部 分の舞台で一番のヤマ場になる予定。集団創作シーン。今日は女子メンバーだけで 試しながら、アウトラインを考える。メンバーにとって一番、楽しいシーンである。から だの遊びが高度に発展した場面、でもある。(林記)

2009年6月19日(金) 林英樹
6月19日(金) 19:00〜22:00

全体のほぼ8割が固まった。これは行ける!

●男性陣:「糸女」シーン、林立会い
記録:林英樹
50過ぎると役者も味が出てくる。特に徹底して「おバカ」をやるといい。

男3人組に滝が絡むと途端に他の二人も活き活きし始めた。これで二人がおバカ に、当意即妙に絡みだすと昔のアジア劇場を髣髴(ほうふつ)させる男芝居の展開に なる。こういうのが自分には一番合ってるんだろうなあ。ちょっと懐しかった。まあ、と ことん「バカ」をやれる男役者で3人3様ってのが集まらないと出来ない話だし、演劇 界広しと言ってもそういう逸材はなかなか見当たらない。見当たれば即刻声をかける ところなんだが、かつてのアジア劇場を支えたような「おもしろ役者」はそうそういない もんだ、20年見てきたが。たくさん人はいるのに必要な人材は滅多にいない。

歳を取るとみな「かしこく」なる、「偉そう」になる、保守的になる。若い奴でバカやる奴 は一杯いるが、それはただのバカで面白くない。バカでないのに(かしこいのに)まる でそれを感じさせずにバカがやれる、そういう50過ぎて味のある役者がいたらすぐ に声をかけたい。



●女子陣集団身体演技シーン
藤井、横山、佐藤を中心に稽古
記録:志村麻里子
 
●女子陣は2景あたまから、以前やったより細かく考えていく。

空間構成をベースにした動きを試演。
1回目、5分半。

ー試演後の皆の意見ー
やった感覚として、軽めに遊ぶ感覚でいいのでは。
内容と距離感があった方がいい。
糸女の日常生活みたいな感覚。
とにかく自由に遊んでる感じ。

などの意見が出た。

その意見を元に、繭も入り2回目やってみる。
繭は、振り回されるような感じで。

後は、繭モノローグの共鳴化する部分の割り振りをして何回か試してみる。
(新しく貰った改作テクストP14)


●その後、全員集合で、
第1景〜第2景「身の上話」の途中まで「粗通し」。

2009年6月19日(金)  林英樹
原作をもとにシンプル化した第一景〜第二景まで粗通しをする(一時間)。

すごくいい感じになっているので、構成に手直しの必要がない。これで行ける!

ほぼ見えてきた。もう8割方は出来あがり(芝居で言うシナリオ、上演台本。あとはリ ハーサルを重ねること)。ここまでの構成の流れをベースに、来週は第3景の創作の たたき台を私から皆に提示し、皆の意見・アイデアを聴取する(上演台本・構成を考 えるプランニング作業)。しかし、勢いがついているので、また一番ラストはこうした い、というのが明確にあるので、あとはこれまで8割方出来ている流れを壊さず、か つ大胆な観客の「予想」への「裏切り」を込めたシーンをつなぎとして作って行けばそ れで行ける。


第二景中・後半のダイアローグ部分で物語自体は見えてくる。あとは、もう一つの柱 (女たちの存在)をより強く競り出させてゆく→第三景(テラ・創作パート、パフォーマ ンス的シーン)への流れを作る。

2009年6月16日(火) 林英樹
江古田ストアハウスでリハーサル

劇場で稽古をやると気分が乗る。役者もずいぶんハイテンション。今日は一気に第2 景 終わり(全体の8割)まで「粗立ち」し試してみる(試演する)。


先週稽古で第一景の大雑把な構成、舞台の流れが固まった。


それを受け週末は第二景の構成案とテクスト改作に着手(個人作業)。この改作テク ス ト、構成案に沿って今日は「粗立ち稽古」と相成った。ほぼこの流れで行けると確 信す る。そのせいか肩の荷がどっと降りる。この一か月、息を詰めるように考えに考 えてき た。やっと気分がほぐれる。

2009年7月1日(水)  林英樹
7月、である。公演まであと残すところ17日、稽古も詰めに入った。


今日から第三場(ラストの場面)を作り始める。

第一場、第二場でほぼ作品の大きな柱は立った。第三場はそのままラストシーンに つな がる。時間にして20分前後。昨夜の「通し稽古」のビデオを何度も見ながら、ま た落合さんからあずかった音楽を聴きながら最後の仕上げプランを立てて稽古場に 臨む。

始まる前に演出チームで打ち合わせ。昨夜のリハーサルで明確になった修正点や 何か所もある場面と場面のつなぎなどの音響・音楽と照明、演技の細かい連携の確 認を行う。

そして、演出チームともどもに考えてきた案を稽古場で出演者全員に参加してもらい 実際に「立ち稽古」。10分もやるとみな「フラフラ」状態。かなり過酷に身体を使うが、 見た目は静かに見える。しかし、内側はたいへん。こういう仕掛け方が空間をしっか り支える要素になる。演技者が楽をすると、観客は「すき」を見つける。演技者が外 側には決して 見せない内側の「過酷」と闘っている時、観客は楽しむ。観客とはサデ ィスティックな存在なのである。役者はだからマゾヒスティックを要する存在と言えよ う、か。

途中で短い休憩を与えながら何度も演技陣に「過酷」な試練に耐えてもらい、「すまな い」と思いつつも(笑)、当然のように「冷酷」に稽古を進める。繰り返しながら次第に そこで思いついたことやアイデアも加えて膨らませていく。稽古場は演技者の体「熱」 でまるでサウナ状態に。


今日は「これで行ける!」と強い確信を得る(構成に関して、テラの舞台では「構成」 がもっとも重要になる。言葉も含めてみな素材、材料。それをどう組み立てるか、そ こで決まる、それが「構成」)。あとは稽古を重ね「身体」でどう流れを生きるか、「内 面」化するか。演技者の課題である。最後の最後の一瞬をどうするか。今日はそれ も頭の中に絵 が浮かんできた。冴え渡る一日!

これで理生さんに何とか顔が向けられそお。。。ほっ・・、と肩の荷が一つおりた。

2009年7月5日(日)  林英樹
『マテリアル/糸地獄』稽古
いよいよラストを作る。考えてきたプランを試してもらう。よし、これで決まった!

ラストの一瞬で作品は決まる。今回は「切れ味鋭い」、鋭利な作品に仕上がった(構 成に 関して)。演技者のからだがうまく乗って最後まで持って行ければ見ごたえのあ る、構造のしっかりした、アバンギャルドを名乗る者によくありがちな決して「意味不 明」なもの、に はなってない。いや、これはすごくわかりやすい!

『マテリアル/糸地獄』は『糸地獄』という原作を軸に展開しながら、原作を最後の場 面(第三場、約20分)で一気に越える。ぱあっと拡がりを持つ、こういう拡がり方を潜 在的に持った作品なんだ、と観客にはっと思わせる作品になった。もちろん初見の人 はこういう作品なんだと思うだろうし、それはそれでよし。原作そのままではないが、 その精神・思想からはずれてはいない。むしろより強化し、見えやすくなっている。



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