オープンシアターの記録
加藤明美 記

2022年5月22日の記録
テラ・オープンシアター

参加者が一人また一人と集まってくる、
全員が揃うまで各々が身体をほぐしながら雑談している。

初めは、Fメソッド ふぁりふぁりから。
箱割りの姿勢から骨盤を中心とした基本運動で身体を緩め、日常の型や思考から意識を解放していく、
インスピレーションや想像力が身体内部から起き上がってくる。

次は、暗誦した基本テクストを使っての発話。
どのような身体の動きでどのような発話になるかを探り、変化する声の大きさや強さを認識しながら声を 出してみる。

そして、
即興会話は動き手と語り手に分かれブリコラージュ式で試みた。
動き手がアクティングエリアにニュートラルな速度で一人ずつ登場し、スローモーション歩行からパフォー マンスに入る、それを見ている語り手は、その動きに故意に関連させ話すのではなく、動きを見て感じて いる現在の自分の身体に湧き上がってくるインスピレーションからつぶやき出す。
月見うどんと月の話(滝)から、二人で(滝、関山)の会話へ、
そしてまた一人で(滝)のつぶやきに。
語り手は、自然に動き手と関係づいたつぶやきに変化しているようだ。

終わってから動き手達一人一人に何を想定して動いていたかを種明かしで聞いてみると、
ウルトラマンと怪獣だったり、飛行機に乗った時の離陸と着陸時の怖さだったり、童話のあるシーンだっ たり、UFOにさらわれ宇宙人になった私だったり、失業保険が切れ就職先が決まらない女性や今週亡く なったクラスの子だったり、齧られた林檎だったり。

次は、
アクティングエリアで語り手一人(関山)がつぶやいているところへその言葉のキーワードや話の内容に触 発された動き手が次々と入っていく。
買いすぎたパンの話、ガーリックフランスパン、クロワッサン…。
次第に動き手達が相互に関係し合う動きに変化してくると、
合図で、
語り手はストップモーション、
動き手達(江口、滝)の会話がはじまる。
そして再び動き手達の会話に触発された語り手がつぶやき出す。
この応酬が何度か交互に切り替わる中で、
突如、闖入者(酒井)も加わり、もう一つの物語が動き出す。

ここで一旦インターバル、
次はどんなことをやってみようか、其々が考えている事を聞いてみる。
前回のオープンシアターで、即興会話のキーワードになるような曲を選んでこようという提案があったこと から、
今回は、滝さんが選んできた曲を皆で聴いてみる。
そこで滝ファシリテート版の即興会話をやろうということになった。

設定は診療所での診察。
タイミングを図りながら、即興会話の途中で曲(ハチャトゥリアンの剣の舞)をシャッフル効果として挿入し てみる。

診療所の医師(加藤)のところに患者(酒井)がやってくる。心の病の原因になっている夢の中に出てきた 小学生の教え子 山田くんの話、シャッフル(曲)で、山田くんが40才の青年となって目の前に現れたり、控 室にいるはずの奥さんが現れたり、医師に診療所の看板は魚屋だから安心していいと言われますます 混乱していく患者…。

今回のオープンシアターも、たくさん動いてたくさん笑った。
日常のすべてがとろけていくような、
そんな楽しさかな。



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