企画概要
【企画概要】2022.08.25版(非公開、関係者のみ)
林英樹プロデュースによるシリア戯曲『母と娘の物語』の上演
『ハイル・ターイハ』
公演期間:2022年11月10日(水)〜2022年11月13日(日)
2チーム、各3回公演
会場:プロト・シアター(新宿区高田馬場)
■AFF2/ARTS for the future! 2
(コロナ禍からの文化芸術活動の再興支援事業)採択事業
【企画立案の動機】
テラ・アーツ・ファクトリーの代表である林英樹は、世界90ヶ国が加盟するユネスコの民間
団体であるITI/UNESCO(国際演劇協会)の日本センターで、13年に渡って「紛争地域から
生まれた演劇」シリーズの企画立案、プロデュースを行ってきた。その中で2010年の「アラ
ブの春」をきっかけに始まった内戦の続くシリアで、アサド政権を批判し亡命せざるを得なく
なった作家、テレビ・映画の脚本家、劇作家、詩人アドナーン・アルアウダの戯曲『ハイル・
ターイハ』を2017年に翻訳・リーディング上演で紹介した。
アルアウダ氏は現在、ICORN(国際難民都市ネットワーク)ロッテルダムの「ライター・レジ
デンス」に受け入れられ創作活動を続けている。ICORNは戦争や政府の弾圧で母国に留
まることが出来なくなった作家やアーチストに避難所を提供する国際組織で、その起源は
1993年にアルジェリアでの作家の暗殺への対応として、国際作家議会(IPW)によって「亡命
都市ネットワーク(INCA)」として設立、代表にはヴァーツラフ・ハヴェルなど、評議会メンバ
ーにはジャック・デリダ、ハロルド・ピンターなどが含まれている。IPWとINCAは2005年に解
散したが、そのアイデアと意志はそのまま残され、2006年6月にノルウェーのスタヴァンゲ
ル文化センターに「国際難民都市ネットワーク(ICORN)」事務局が設立され、活動を新たに
継承している。ICORNはメンバー都市による分散型の運営となり、ロッテルダムをはじめ世
界70都市がメンバー都市となっている。
今回のプロジェクトでは作品を上演する事で作家を応援するだけでなく、クラウドファ
ンディングを実施し、紛争や政府の弾圧で母国での活動が困難となった作家や芸術
家に避難所を提供するICORNへの活動協力としてプロジェクト収益を寄付する予定
である。
【作品について】
「土着の根深い因習と近代化してゆく社会、厳しい自然に翻弄されながらも強い意志で同
調圧力を破り、人生を切り開こうとする母娘二代を描いた作品」(中山豊子/『紛争地域か
ら生まれた演劇・戯曲集』作品解題より引用)
娘の名はハイル(馬)、母の名はターイハ(さすらい)。ベドウィン族とクルドの間に生まれた
ハイルが因習と現代的生活のはざまで揺れながら成長し、女性として自立する姿を、音楽
や詩をふんだんに用いて描く語り物。多様性の中に「シリア」のアイデンティティを探る作家
の真骨頂。クルド語交じりのアラビア語で書かれ、2008年出版。2015年にはパレスチナの
イエス・シアターによりアラブ演劇祭(※)で初演され、カースィミー賞を受賞した。
【作家プロフィール】
アドナーン・アルアウダ
作家、台本作家、劇作家、詩人。1975年、ラッカ県(シリア北部)から50qほどの小さなザ
ウル・シャマル村出身、高校卒業後ダマスカスへ上京。現在ロッテルダム在住。ダマスカス
高等演劇芸術学院文学部ジャーナリズム学科パフォーミング・アーツ、ダマスカス大学でジ
ャーナリズムを学ぶ。2011年3月、ダマスカスで行われたアーティスト、作家、ジャーナリスト
らによるデモに参加して捕らえられ、アサド政権支持を表明するように要請された。これを
逃れるため国を出て、ICORN(International Cities Of Refuge Network国際難民都市ネット
ワーク)に申請。ロッテルダム市よりレジデントとして招かれ、Velhalenhuis Belv?d?reを拠点
に創作活動を続けている。
戯曲作品に『ハイル・ターイハ』(2015年1月、第7回アラブ演劇祭でシャルジャ首長の名を
冠した「アル・カーシム賞」を受賞)のほか、『Zabib(レーズン)』『Al-mirwad wa almikhaleh
(マスカラとアイライナーの容器)』、台本を手がけたテレビドラマに『Finjan Al Dam(血のカッ
プ)』ドバイのハムダン・ビン=ムハンマド・アール=マクトゥーム王子による詩に基づく
『Abwab Al Ghayam(雲の扉)』、詩のアンソロジーに『Sakran El-Majanine(狂った酔っ払
い)』等、ドキュメンタリー映画に『Kalam harem(禁断の言葉)』。作詞も手がけ、シリアの人
気ミュージシャンLena Chamamyan(レーナ・シャマーミャン)とのコラボレーションも。
■出演料
出演料はAFF2に提出した予算書に準拠します。
【2チームによる上演体制】
コロナ対策の為、2チーム(仮にAとBとします)でローテーションを組みます。また、万
が一、本番前に感染者が出た場合、交代が可能であれば一方のチームの人がもう
一方のチームの同一の「役」をカバーする形を取ってもらいます。
【稽古・本番スケジュール】
稽古日程は各チーム内で調整予定です。
稽古は2チームに分かれ、Aチームは9月からメンバーの集まれる日に稽古を行いま
す。
Bチームは10月中と、11月本番直前期に稽古を実施予定です。
9月、或いは10月は数度にわたって、それぞれのチームで集まり(リモート併用)、台本を
読み、語り合い、演出ともども一緒にどのように舞台を作っていくか話し合っていく予定で
す。
劇場は10月29日(土)から押さえてあります。公演直前期は本番会場を使った稽古と
なりなす。
10月29日―11月8日までの期間は2チームでスケジュール調整、舞踏シーンとの組み合わ
せや劇中映像、中東楽器の生演奏とのセッションなど「合わせ稽古」(リハーサル)も実施し
ます。
1チームの編成は俳優(語り手)4人(現時点でのプラン)+舞踏手2人、演奏(大平)
は両チーム対応。
台本の地の部分の語りと登場人物の台詞を4人(女3、男1)で割り振る予定です。
【プロジェクト参加にあたって】
企画立案の動機でも触れましたが、今回は舞台をやって観客に楽しんでもらってそこ
で終わり、という自己完結上演ではなく、内戦で難民(亡命)となり母国から遠く離れ
不自由な状態にある作家に日本で彼の作品を上演する事でエールを送る、同時にク
ラウドファンディングを実施して、彼を支えるICORNに私たちに出来る範囲の協力を
ささやかながら実行するという主旨で、この活動の全体を「プロジェクト」と考え、一緒
に盛り上げて下さる方を求めます。
企画・制作 テラ・アーツ・ファクトリー
東京都新宿区西新宿8-2-36-307
ホームページ:http://terra.huruike.com/
メール:terra8823@gmail.com
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